こんにちは。ペン画家の小笠原です。
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デッサンとクロッキーは、どちらも絵画やイラストの制作において重要な技術ですが、それぞれ目的や方法が異なります。
一見すると混合されがちではありますが、用途や目的によって使い分ける事で、効率的に技術の習得をしていく事が出来るようになります。
今回は、そんなデッサンとクロッキーの違いについて詳しく解説をしていきたいと思います。
目次
デッサンとは?
デッサンとは、フランス語で「描く」という意味を表す言葉となっています。
一般的には、対象物の形態や構造、質感、陰影などを詳細に観察し、それを紙に表現する技術の事を指します。
デッサンを行う際は、時間をかけて細部まで描き込むことが多く、特に立体感や空間感を正確に再現することが重視されます。
基本的には鉛筆や木炭を使ってデッサンをする事となっており、それぞれの道具を用いて正確な描写力を身につける上で必要な訓練として行なっていきます。
デッサンは美大受験に関わらず、絵を学ぶ上で基本的な物の見方を養うという意味でも重宝するので、画力向上を目指すのであれば必須の技術となります。
デッサンの特徴
それではまず、デッサンの特徴について見ていきましょう。
デッサンの特徴として挙げられるものは以下のものがあります。
- 詳細な観察と描写を行う
- 陰影の表現
- 線の使い方
- モチーフの空間表現を行う
- 時間がかかる
- 学習の基礎
- 様々な画材を使用する
では、個々についてそれぞれ見ていきましょう。
詳細な観察と描写を行う
デッサンの基本的な特徴は、対象物の細部にわたる観察とその描写です。
デッサンを行う際には、形状、プロポーション、質感、陰影などを正確に捉えるために、対象のモチーフをじっくりと観察します。
例えば、人物デッサンでは、骨格や筋肉の構造、顔の特徴などを詳細に描きます。
このように、対象物の正確な形を再現することで、リアリティのある作品を作り出すことができます。
陰影の表現
デッサンでは、光と影の表現が非常に重要です。
陰影を描くことで、二次元の平面的な紙の上に立体感を持たせて描く事ができます。
光源の位置や強さによって生じる明暗の変化を正確に捉えることで、物体の立体感や質感をリアルに表現することが可能です。
また、陰影の表現を通じて、作品に深みや奥行きを与えることもできます。
線の使い方
デッサンでは、線の使い方が非常に重要です。
線の太さ、濃さ、方向などを工夫することで、対象物の形状や質感を表現します。
例えば、太くて濃い線を使うことで、対象物の力強さや重さを表現し、細くて薄い線を使うことで、繊細さや軽さを表現することができます。
また、クロスハッチングと呼ばれる技法を使って、陰影を細かく描き分けることもあります。
時間がかかる
デッサンは1枚の作品を完成させるのに時間をかけることが多く、一般的に長い時間をかけて描かれることが多いです。
これは、細部にわたる描写や、陰影の細かな表現を行うためです。
デッサンによっては、1つの作品を完成させるまでに数時間から数日を要することもあります。
この時間をかけることで、より正確でリアルな描写が可能になります。
絵の基礎の習得
デッサンは、画家やイラストレーター、アニメーター等の絵の仕事に携わる人達が絵を描くための基礎技術を習得するための重要な練習方法です。
対象物の正確な形状を捉える観察力や、陰影を使って立体感を表現する技術は、他の絵画技法にも応用できます。
デッサンを通じて学んだ技術は、絵画全般の表現力を高めるのに役立ちます。
様々な画材を使用する
デッサンでは、鉛筆、木炭、ペン、パステルなど、様々な画材が使用されます。
各画材にはそれぞれ特徴があり、表現する対象や作品のスタイルによって使い分けられます。
例えば、鉛筆は細かい線描や陰影表現に適しており、木炭は柔らかく深みのある陰影を表現するのに向いているといった具合です。
これらの特徴を持つデッサンは、絵画やイラストの制作において非常に重要な役割を果たします。
デッサンを習得することで、アーティストは観察力や描写力を向上させ、よりリアルで説得力のある作品を創り出すことができるようになります。
クロッキーとは?
それでは次にクロッキーについて解説をしていきます。
クロッキーとは、フランス語で「素描」や「下書き」という意味を表します。
クロッキーは、短い時間内(数秒から数分程度)で描かれるため、細部まで描き込むことは少なく、動きや形状の要点を素早く捉えることが重視されます。
用途としては短時間で対象物の動きやポーズ、全体の印象を捉えることを目的とした描写技術です。
クロッキーの特徴
クロッキーの特徴について見ていきましょう。
- 素早い描写
- 動きの表現
- ラフな描写
- 自由な表現
- 練習と訓練
- 異なる画材の使用
- 基本構造の理解
これらについて以下で詳しく解説をしていきます。
素早い描写
クロッキーの最大の特徴は、非常に短い時間で描かれることです。
短時間で描き上げるため、素早く大まかな形を捉える事を目的とし、一般的には数秒から数分の間に対象物を描き上げます。
このため、クロッキーでは細部を描き込むことよりも、全体の形や動きの要点を素早く捉えることが重要となります。
動きの表現
クロッキーは、対象物を捉えるのに適しており、人や動物などの動きやポーズを描く練習としてよく用いられます。
例えば、モデルが様々なポーズをとる際、そのポーズの特徴やエネルギーを迅速に描写することが求められます。
これにより、動きのダイナミズムやリズムを表現するスキルが磨かれます。
ラフな描写
クロッキーでは、細かいディテールよりも、全体の印象や動きを重視する為、シンプルでラフな線描が主流となります。
また限られた時間で描くため、複雑な陰影や細部を省略し、簡潔な線で形状や動きを表現していきます。
この簡潔な描写は、観察した内容を迅速に理解し、表現する能力を養うのに役立ちます。
自由な表現
クロッキーは、比較的自由な描画技法です。
描く際のルールや技術的な制約が少なく、自分の感覚に基づいて自由に描くことができます。
この自由さは、アーティストが創造力を発揮する場としても重要です。
特に、描き手自身のスタイルや感性が反映されやすい表現方法です。
練習と訓練
クロッキーは、観察力や描写力を鍛えるための優れた練習方法です。
その理由として短時間で多くのスケッチを描くことで、形を捉えるスピードと精度を向上させる事となります。
また、異なるポーズや視点から描くことで、立体感やプロポーションの理解を深めることができます。
これにより、より洗練された描写力を養うことができます。
異なる画材の使用
クロッキーには、鉛筆、ペン、マーカー、インクなど、さまざまな画材が使用されます。
使用する画材によって、線の質感や表現の幅が異なり、それぞれの特徴を生かして描くことが求められます。
たとえば、鉛筆は柔らかな線を、ペンははっきりとした線を描くのに適しているといった形です。
基本構造の理解
クロッキーを通じて、対象物の基本的な構造やプロポーションを理解することができます。
たとえば、人間のクロッキーを描くことで、人体のバランスや関節の動きを把握することができます。
この理解は、より詳細なデッサンや絵画の制作において非常に役立ちます。
これらの特徴を持つクロッキーは、アーティストにとって観察力や即興性を養うための貴重な手法です。
また、短時間で多くの作品を描けるため、実験的なアプローチや新しいスタイルの探索にも向いています。
クロッキーを繰り返し練習することで、描写の速さや精度、表現力の向上に役立てていきましょう。
デッサンとクロッキーの違いと共通点
デッサンとクロッキーの最大の違いは、描写の時間と詳細さです。
デッサンは時間をかけて詳細に描くのに対し、クロッキーは短時間で要点を捉えます。
ですが、どちらも観察力を養い、絵を描くための基礎力を向上させるために非常に重要な練習方法です。
クロッキーで身につけた動きや形の捉え方を、デッサンでさらに詳細に描き込むという流れで練習することもありますね。
これらの技術は、絵画やイラストの制作において互いに補完し合うものであり、両方をバランスよく練習することで、より高い表現力を身につけることができます。
まとめ
今回は、デッサンとクロッキーのそれぞれの特徴に加えて、違いについても解説をしていきました。
それぞれ似たような扱われ方をする事もありますが、用途によって使い分ける事で、目的に応じた絵の訓練となってきます。
- モチーフの形態や陰影表現を鍛えるならデッサン
- 短時間で人物の動きを捉えるならクロッキー
といった形で、それぞれを練習に取り入れてみてくださいね!
それでは、今回はこの辺で失礼します。
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