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バロック時代の絵画の特徴と代表する画家。ロココとの違いについても

バロック 絵画

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こんにちは。ペン画家の小笠原です。

僕が描いた作品です。


バロック期における美術というのは、個人的に荘厳でドラマチックな印象を持っています。

また絵画だけに留まらず、建築もドラマ性を持った建物がこの時代に生まれ、観る人の感情移入を促す演出に魅了されます。



アニメ「フランダースの犬」で登場する絵画の作者ルーベンスも、このバロック期に活躍した画家の一人で、彼の作品について詳しく知らないという方でも、「名前は聞いた事がある」という方も少なくないのではないでしょうか?


さて、今回はそんなバロック期における絵画を中心に解説をしていきたいと思います。


バロックとはどんな時代?

真珠 バロック


約17世紀におけるヨーロッパで広く見られた美術全般の事を「バロック」と呼びます。

バロックとは「歪んだ真珠」を意味していますが、建築に楕円や曲線が多用されて派手な装飾が目立つ事から、元々はそれらを揶揄する為に生まれた言葉でもありました。



この時代は、特に建築、音楽、絵画、彫刻などの分野で顕著な発展を遂げました。

ここでは、バロック時代の特徴とその背景について詳しく解説いたします。

歴史的背景

宗教 祈り


バロック時代は、16世紀末から18世紀中頃にかけて続きました。

この時期は、ヨーロッパにおいて政治的、宗教的な変動が多く見られ、宗教戦争が過熱していた時代でもあります。

特に、宗教改革とその反動としての対抗宗教改革が大きな影響を与えました。



そこでプロテスタントは、キリスト教絵画を聖書内で禁止されている「偶像崇拝」にあたるとし、カトリックを強く非難していました。

それに対し、カトリック教会は、プロテスタントの台頭に対抗するため、信仰の力強さと教会の権威を視覚的に示す手段としてバロック芸術を利用したのです。

芸術と建築

アザム教会


バロック建築は、壮大で装飾的なスタイルが特徴です。

教会や宮殿には、曲線的なデザインや華麗な装飾、天井画や彫刻が施されました。

これにより、建物全体が一つの壮大な芸術作品として機能しました。

バロック建築で代表的な例には、ローマのサン・ピエトロ大聖堂やベルニーニによるヴェルサイユ宮殿などがあります。

ヴェルサイユ宮殿

絵画と彫刻

ベルニーニ


バロック絵画は、先ほども述べたように劇的な表現や動的な構図が特徴です。

また、彫刻も同様に劇的で感情表現が豊かであり、彫刻家のジャン・ロレンツォ・ベルニーニは、特に有名で、その作品は生き生きとした動きとリアルな表現力が際立っています。

音楽

バッハ


バロック音楽は、バッハ、ヘンデル、ヴィヴァルディなどの作曲家によって代表されます。

この時代の音楽は、複雑な対位法、豊かな和声、感情豊かな表現が特徴です。

オペラやカンタータ、協奏曲などの形式もこの時代に発展しました。

科学と哲学

ガリレオ衛星


バロック時代はまた、科学と哲学の進展の時代でもありました。

ガリレオ・ガリレイやアイザック・ニュートンといった科学者たちは、自然界の理解を深める重要な発見を行いました。

また、デカルトやスピノザといった哲学者は、人間の理性と存在についての新たな見解を提示しました。

社会と文化

バロック 庭園


バロック時代は、貴族や王侯の力が強大であり、豪華な宮廷文化が栄えました。

舞踏会や劇場、公園などが設けられ、社交と文化の中心として機能しました。

また、印刷技術の発展により、書籍や新聞が普及し、知識や情報の流通が促進されました。

バロック時代は、このように多岐にわたる分野で大きな変革と発展を遂げた時代であり、その影響は現在でも多くの文化や芸術に見ることができます。

バロック時代の絵画の特徴について


バロック時代の絵画は、17世紀から18世紀初頭にかけてヨーロッパで広まりました。

この時代の絵画にはいくつかの特徴がありますので、それぞれ詳しく解説いたします。

劇的な表現

キアロスクーロ 花


バロック絵画は非常に劇的で、感情表現が豊かです。

画家たちはしばしば強いコントラストを使って、光と影の対比を際立たせました。

この技法は「キアロスクーロ」と呼ばれ、観る者の目を引きつけ、絵の中のドラマを強調します。

【キアロスクーロとは】

キアロスクーロ(Chiaroscuro)とは、イタリア語で「明暗」を意味し、美術において光と影の強い対比を利用する技法です。この技法は、立体感や深みを強調し、絵画に劇的な効果を与えることができます。
ルネサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチやバロック期のカラヴァッジョなどがこの技法を多用しました。キアロスクーロは、光源を明確に設定し、明暗のグラデーションを用いることで、物体の形状や深みをリアルに描写します。

動的な構図

ダンサー


バロック絵画では、動きやエネルギーが感じられる構図が特徴的です。

人物や物体が斜めに配置され、劇的なポーズをとる事がよくあります。

これにより、絵に動きと活力が与えられ、静止画でありながらも動的な印象を与えます。

豊かな装飾と細部描写

ザルツブルク


バロック時代の絵画は、豪華で細部にまでこだわった装飾が特徴となっています。

衣装や背景には、細かく描かれた模様や装飾が施されており、その細部までが丁寧に描写されています。

これにより、絵全体に豪華さと華やかさが加わります。

宗教的テーマ

バロック 宗教


バロック絵画の多くは宗教的なテーマを扱っています。

この時代はカトリック教会が大きな影響力を持っていたため、聖書の物語や聖人の姿がよく描かれました。

これらの絵画は、信仰の深さや宗教的なドラマを強調するための手段としても機能しました。

有名なバロック画家


この時代の有名な画家には、カラヴァッジョ、ルーベンス、レンブラント、ベルニーニなどがいます。

彼らの作品は、上述の特徴をよく表しており、バロック時代の絵画の魅力を存分に感じさせてくれます。

バロック時代を代表する画家については、以下で詳しく解説しています。

バロック時代を代表する画家


バロック時代を象徴する画家には、カラヴァッジョルーベンスレンブラントディエゴ・ベラスケスなどがいます。

これらの画家たちは、バロック絵画の特徴を見事に表現し、その時代を代表する存在として知られています。

ここでは、それぞれの画家について詳しく解説いたします。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(Caravaggio, 1571-1610)

カラヴァッジョ 肖像画出典:Wikipedia
カラヴァッジョ 肖像画 出典:Wikipedia


カラヴァッジョは、バロック時代の初期に活躍したイタリアの画家です。

彼の作品は、先ほども紹介したリアリズムと劇的な光と影の対比である「キアロスクーロ」の技法が特徴的です。



カラヴァッジョは、聖書の物語や宗教的なテーマを非常にリアルに描き、その登場人物たちを日常の人々のように表現しました。

代表作には『聖マタイの召命』『聖トマスの不信』などがあります。

ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens, 1577-1640)

ルーベンス 自画像出典:Wikipedia
ルーベンス 自画像 出典:Wikipedia


ルーベンスは、フランドル(現在のベルギー)出身の画家で、バロック時代の最も重要な画家の一人です。

彼の作品は、豊かな色彩と力強い動きが特徴です。

ルーベンスは、宗教画、歴史画、肖像画、風景画など、多様なジャンルで活躍しました。

彼の代表作には、『聖母被昇天』『ライオン狩り』などがあります。

レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn, 1606-1669)

レンブラント 自画像出典:Wikipedia
レンブラント 自画像 出典:Wikipedia


レンブラントは、オランダの黄金時代を代表する画家で、光と影の使い方に卓越した技術を持っていました。

彼の作品は、深い感情表現と細部へのこだわりが特徴です。



レンブラントは、肖像画、宗教画、風俗画など、多岐にわたる作品を残しました。

代表作には、『夜警』『自画像』があります。

ディエゴ・ベラスケス(Diego Velázquez, 1599-1660)

ディエゴ・ベラスケス 自画像出典:Wikipedia
ディエゴ・ベラスケス  自画像 出典:Wikipedia


ベラスケスは、スペインの宮廷画家として知られ、その写実的なスタイルと繊細な描写が特徴です。

彼は、スペイン王フェリペ4世の宮廷で多くの肖像画を描きました。

ベラスケスの代表作には、『ラス・メニーナス』『ブレダの降伏』があります。

フランシスコ・デ・スルバラン(Francisco de Zurbarán, 1598-1664)

スルバランのレリーフ出典:Wikipedia
スルバランのレリーフ 出典:Wikipedia


スルバランは、スペインの画家で、その宗教画で知られています。

彼の作品は、強いコントラストと静かな神秘的な雰囲気が特徴です。



スルバランは、修道士や聖人の姿を多く描きました。

代表作には、『聖フランチェスコの幻視』『聖アポロニア』があります。

これらの画家たちは、それぞれのスタイルと技法でバロック時代の芸術を豊かにし、その影響は今日に至るまで続いています。

バロック絵画は劇的な表現と豊かな装飾で、後の時代の多くの人々にも感動を与え続けています。

バロックとロココ時代の絵画の違いについて


バロック時代とロココ時代の絵画には、それぞれ独特の特徴とスタイルがあります。

両者の違いを詳しく解説いたします。

バロック絵画とロココ絵画は、それぞれ異なる時代と美学を反映したスタイルです。以下にその違いを簡単にまとめます。

バロック絵画

  • 時代: 17世紀初頭から18世紀初頭
  • 特徴:
  • ドラマティックな構図: 劇的で動的なシーン、強い明暗のコントラスト(キアロスクーロ)
  • 感情表現: 強烈な感情や劇的な瞬間を描く
  • リアリズム: 詳細で現実的な描写
  • 宗教的・神話的主題: カトリック教会の影響が強く、宗教画が多い
  • 代表的な画家: カラヴァッジョ、レンブラント、ルーベンス

ロココ絵画

  • 時代: 18世紀前半から中頃
  • 特徴:
  • 軽やかな色彩: パステルカラーや明るい色調
  • 優雅な構図: 曲線的で装飾的なデザイン、繊細な構図
  • 感傷的なテーマ: 愛や遊び、日常生活の楽しみなど、軽やかで華やかな題材
  • 装飾的な細部: 優美で繊細な装飾、自然のモチーフ(花、葉など)
  • 代表的な画家: ジャン=アントワーヌ・ヴァトー、フランソワ・ブーシェ、ジャン=オノレ・フラゴナール


バロック絵画は劇的で感情的、宗教的なテーマが多く、明暗の対比が強いのに対し、ロココ絵画は軽やかで優美、装飾的なテーマが多く、明るい色彩と曲線的なデザインが特徴です。

代表的な画家

バロック

  • カラヴァッジョ: 強いコントラストとリアリズムで知られます。
  • ルーベンス: 豊かな色彩と力強い動きが特徴です。
  • レンブラント: 光と影の使い方が卓越しています。

ロココ

  • アントワーヌ・ヴァトー: 優雅な構図と軽やかな色使いが特徴です。
  • フランソワ・ブーシェ: ロマンティックで装飾的な画風が特徴です。
  • ジャン=オノレ・フラゴナール: 繊細な描写と明るい色彩が特徴です。


バロックとロココは、それぞれ異なる美学と価値観を反映しており、時代の流れと共にそのスタイルも大きく変化しました。

まとめ


今回は、バロック時代における絵画について解説をさせてもらいました。

この時代の絵画は王族を唸らせるほどの演出力が魅力的で、まるで神話の一場面を思わせるような巨匠たちの巧みな技巧によって描かれています。


正直今観ても、思わず息をするのも忘れてしまうほどの描写力に裏打ちされた描写力というのは、現代に生きる画家にとっても強く影響を及ぼすものとなっているのではと思いますね。


それでは、今回はこの辺で失礼します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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