こんにちは。画家の小笠原です。
西洋美術史を学ぶ上で、エーゲ文明、そして古代ギリシャについて避けて通る事は出来ません。
それ以前の美術史というのは、エジプト・メソポタミア文明をルーツとしたものとなっておりますが、現在における美術の根幹となっているのは、この古代ギリシャ時代における美術だと言っても過言ではないかもしれません。
特に美大生、あるいは美大受験(特に絵画方面)をする学生らにおいては、試験課題として石膏像をデッサンする事となります。
そこで用いられるのが、今回の記事で紹介するミロのヴィーナスやラオコーンといった石像だったりもするのですね!
僕自身、デザイン科の出身なので石膏像のデッサンに関しては数えるほどしかやりませんでしたが、日常的に石膏像を目にする機会はしょっちゅうありました。
石膏像って、美大を目指す前はなんとなく芸術性のあるものだと漠然と思っていましたが、実際にモチーフとして描いてみたり、背景の美術史を知る事で見方が変わってくると思います。
さて、そこで今回は美大受験でも頻繁に出題される石膏像の元となったヘレニズム美術について触れていきたいと思います。
是非とも最後まで読み進めてもらえると幸いです!
西洋美術史の基礎を築いた古代ギリシャ
古代ギリシャ時代は、西洋美術史を語る上で根本となる基礎を築き上げた時代となっています。
記事の冒頭でも言いましたが、今なお美大受験で使われる石膏像のモチーフとしてこの時代に作られた彫刻が使われていますし、人類歴史を語る上でも重要な作品でもあります。
ヘレニズム時代より前のアルカイック期では、直立不動な彫刻から自然な立ち姿として表現されるようになり、筋肉や身体の造りがより自然なものへと近づきました。
また、建築分野においてもパルテノン神殿に見られるように、建造に用いられた装飾や構成は、その後の西洋建築における基準となりました。
そして以下の3つの建築様式が生まれ、それらは柱とその上部の梁(はり)の構造の組み合わせで決まっていました。
- ドーリス式
- イオニア式
- コリントス式
文明が発達していくにつれて、それに呼応するかのように美術や建築にも反映されるようになってきたのですね。
ヘレニズムの由来について
ヘレニズムとは、神話上の人物として登場するギリシャ人の祖とされる「ヘレーン」の名に由来される時代の事を指します。
紀元前323年にアレクサンドロス大王が急逝してから、紀元前30年にプトレマイオス朝エジプトが滅亡するまでのおよそ300年間がヘレニズムと呼ばれる時代とされています。
アレクサンドロス大王によって築かれた巨大な一大帝国は、その後の後継者たちによって分割統治されるようになり、そこで地中海とオリエントは「ヘレニズム」と呼ばれるようになりました。
ヘレニズム美術とは?
ヘレニズム美術とは、ヘレニズムと呼ばれる時代に作られた美術作品の事を指します。
特に有名な芸術作品としてヘレニズム彫刻を代表する石像がこの時代に数多く制作されるようになりました。
中でも、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケ、そしてラオコーン像といった美大受験をする上で必ずと言って良いほど出題される石像がこの頃に作られたとされています。
僕自身、高校生の頃ルーブル美術館に訪れた際に、ミロのヴィーナスとサモトラケのニケ像を直接生で観た事がありました。
その当時は美術に対して多少の興味本位しか持ち合わせていなかった時期でもあったので、今になって「もっとちゃんと良く観ておけばよかった」と悔やまれます。。
ヘレニズム美術の特徴とは?
さて、そんなヘレニズム美術についてですが、それぞれの時代によって芸術作品に特徴が現れております。
それはヘレニズム美術においてもその特徴が表れています。
例えば、ヘレニズム以前のアルカイック期においては、直立姿勢でわずかに片足が踏み出されているといった特徴がありました。
その一方で、よりダイナミックな人体表現として石像が作られるようになり、その激しい動きが特徴となっています。
特に神官ラオコーンと蛇が絡みつく様は、石像であるかを忘れてしまうほどの超絶技巧で迫力のある人体表現が成されています。
これを観ただけでも、古代ギリシャ人の彫刻家の技術力の高さというのは、とてつもなく凄い技術である事が伺えますね!
ヘレニズム美術のその後
およそ300年間続いたヘレニズム時代でしたが、その後ゆるやかに衰退していくに従って、東西の文化と融合していきました。
その際にマケドニア人らによって、地中海全域、そしてヨーロッパ大陸内部へとヘレニズム文化が伝えられたとされています。
時代が移り変わる事によって、かつて栄えていたヘレニズム時代にも終わりが訪れました。
ですが、この時代に培われてきた芸術作品の数々は、今なお人々の心を魅了する存在となっています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、西洋美術史の基礎を造り上げた古代ギリシャ文明の中でも重要なヘレニズム美術について解説をしていきました。
この時代に作られた彫刻の数々というのは、西洋美術史の基礎だけでなく、すでに完成されたものとして今なお絶大な影響を及ぼしています。
特に美術を志す方々にとっては押さえておきたい知識でもあるので、繰り返し学ぶだけでなく、様々な書物から知識を得ていくと良いですね!
それでは、今回はここまでとなります。
ではでは、また別の記事でお会いしましょう!
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