こんにちは。小笠原です。
美大受験をする上で、ラオコーン像を見た事がないという人はまずいない位有名な石膏像の一つとして挙げられます。
あの苦悶に満ちた表情の表現は言わずもがなではありますが、筋肉質な体や各パーツのひねり具合であったり、体に巻き付く蛇の表現など、随所に見どころがありますよね。
鉛筆デッサンをする上で描きごたえのある石膏像ではありますが、普段見慣れている石膏像の歴史を調べてみると、西洋美術の知識を深めていく事にも繋がります。
そこで今回は、美大生にとって馴染みの深いラオコーン像についてまとめてみました。
個人的に好きな石像でもあるので、
目次
ラオコーン像とは?
ラオコーン像は、ギリシャ神話に登場するラオコーンの物語に基づいて制作された彫刻で、その美しさと情熱的な表現で知られています。
ラオコーンはトロイの神官であり、彼はトロイの木馬についての警告を発したことで有名です。
彼が怒りをかっている神々によって、彼と彼の息子たちは海蛇によって絞め殺されるという運命にあったとされています。
この像は、ラオコーンと彼の息子たちが絞め殺される瞬間を捉えており、その苦しみと絶望が見事に表現されています。
ラオコーン像は古代ギリシャの芸術の傑作として高く評価されています。
ラオコーン像のテーマについて
ラオコーン像のテーマは、「運命」、「神々の怒り」、そして「人間の無力さ」です。
この彫刻は、ラオコーンとその息子たちが海蛇に襲われる瞬間を描いており、彼らの絶望的な苦しみを強調しています。
神々の怒りによる避けられない運命と、それに対する人間の無力さが表現されているのですね。
このテーマは、ギリシャ神話の多くの物語に共通するものであり、人間の運命がいかに神々の意志に左右されるかを示しています。
ラオコーンの物語は、忠告や知恵が神々の意志に逆らうことの無力さを象徴し、古代ギリシャ人の信仰や価値観を反映しています。
ギリシャ神話におけるラオコーン
ラオコーンは、ギリシャ神話のトロイア戦争に関する物語に登場する人物です。
この物語はホメロスの『イーリアス』などで語られています。
ギリシャの連合軍がトロイアを攻めた際、攻めあぐねて和睦を申し入れ、贈り物として木馬を城門の中に入れました。
これが「トロイの木馬」として一般的にも知られています。
この時、トロイアのアテナイ神殿(アポロン神殿とも呼ばれる)の神官ラオコーンは木馬を疑い、槍で木馬の胴体を突き刺しました。
中から武器の音がしましたが、ラオコーンの警告は無視されました。
その後、ラオコーンがポセイドンに雄牛を生け贄に捧げようとした際、海から二匹の大蛇が現れ、ラオコーンと彼の二人の息子を絞め殺したのです。
そして大蛇たちはアテネ女神像の足下の楯に隠れました。
トロイアの人々は、ラオコーンが木馬を槍で刺したことに対する神々の怒りだと考えました。
しかし、ラオコーンが警告した通り、木馬の中に隠れていたギリシャ兵が現れ、トロイアは滅ぼされてしまいました。
ラオコーンと彼の息子たちの死は、トロイアの滅亡の前兆だったのです。
ラオコーン像が作られた時代は?
ラオコーン像が作られたとされる時代は、紀元前2世紀から紀元前1世紀の間とされています。
この彫刻は、ヘレニズム期の作品として知られており、その時代の特徴である劇的で感情豊かな表現が見られます。
ラオコーン像を作った作者は?
ラオコーン像の作者は、古代ギリシャの芸術家であるハゲシアンドロス、ポリュドーロス、アテナゴラスの3人の彫刻家であるとされています。
これらの芸術家たちは、ローマ帝国時代の彫刻家であり、ロードス島出身とされています。
この像は、彼らが共同で制作したものであり、その技術と表現力は非常に高く評価されています。
ラオコーン像は、古代ギリシャの彫刻の中でも特に重要な作品の一つとされ、その影響はルネサンス期の芸術家たちにも大きな影響を与えました。
ラオコーン像はどこで見る事が出来る?
ラオコーン像は、1506年にローマで再発見され、その後、バチカン美術館に所蔵されました。
この美術館はバチカン市国に位置しており、世界中から訪れる多くの観光客がこの彫刻を鑑賞しています。
ラオコーン像は、バチカン美術館の彫刻コレクションの一部として展示されています。
今後訪れる機会がありましたら、是非とも足を運んでみてくださいね。(僕もいずれ見にいきたいです)
まとめ
今回は、美大受験をする上で必須となるラオコーン像について解説をさせてもらいました。
ヘレニズム期に作られたとされていますが、ルネサンス彫刻にも大きな影響を与えた大理石像でもありますね。
彫刻の歴史を知る事で、よりその彫刻に対する理解を深めていく事が出来るようになります。
個人的にも見応えがあって1、2のトップを争うくらい好きな彫刻なので、ラオコーンについて知る上で興味深かったですね。
それでは、今回はこの辺で失礼します。
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