こんにちは。ペン画家の小笠原です。
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デッサン鉛筆の使い分けは、描写力を向上させ、様々な表現を実現するために非常に重要な事でもあります。
鉛筆には、芯の硬さによって異なる種類があるので、モチーフごとにそれぞれ適した用途や表現方法をしていく必要があるのですね。
他にも、各鉛筆メーカーの違いによってもデッサンの描きやすさが変わってくるので、使用するメーカーによっても使い分けが必要となってきます。
デッサン上級者ほど、モチーフごとの鉛筆の使い分けが上手なので、これからデッサンを学ぼうとする方にとっても参考になるところがあるのではと思います。
そこで今回は、デッサン鉛筆の使い分けについて詳しく解説をしていきます。
鉛筆の使い方への理解が深まる事で、デッサン力の向上にも期待する事が出来るので、是非とも参考にしてみてくださいね。
目次
鉛筆のメーカーによる違い
まず初めに、鉛筆デッサンで使われる各メーカーごとの特性について知っておく必要があります。
別の記事でもまとめておりますが、鉛筆デッサンで使う主な鉛筆メーカーは3種類となっており、これらを上手く使いこなしていく必要があります。
数ある鉛筆の中でも、コチラの記事でも紹介しているハイユニとステッドラーの鉛筆があれば、デッサンをする上で不自由する事は無くなります。
僕自身、これまで様々なメーカーの鉛筆を使ってきましたが、デッサンで使う鉛筆としてはやはりこれらの鉛筆が適していると思わされますね。
特に、長年美大受験生らにとっても愛用され続けている鉛筆でもあるので、そう言った意味でも信用が持てるのではと思われます。
それだけ鉛筆デッサンとしての表現に適しており、使い勝手が良い鉛筆でもあるので、まずはこれらのメーカーを揃えておく必要がありますね。
また他にも、ファーバーカステルというメーカーの鉛筆もデッサン用鉛筆として有名ですが、コチラに関しては植物を描く際などに適しているので、上の2つと併せて使うのが効果的と言えますね。
使い方としては、以下のように使い分けるのが効果的です。
ハイユニ
ハイユニは三菱鉛筆製の鉛筆です。
主に動物の毛並みや木材といった、重量感のあるモチーフであったり、柔らかい毛並みを表現するのに適している鉛筆となっています。
また、ハイユニと同様にユニという鉛筆もありますが、コチラはハイユニよりも少し値段が安いといった特徴があります。
ただし、きめ細やかな表現をするのであればハイユニの方が適しているので、個人的にはハイユニの方をオススメします。
多少金額が上がると言っても、ハイユニ1本あたり165円程度(2024年8月時点)ですし、22本入りのセット販売であれば3,000円程度とお得に買えるので、さほど負担にはならないかと思われます。
良い道具を使う事は上達への早道でもあるので、なるべく初めから自己投資として良い道具を購入する事をオススメします。
ステッドラー
ステッドラーは、創業180年以上を誇るドイツの老舗文具メーカーが販売している鉛筆です。
コチラもハイユニと同様に、デッサン用鉛筆として長年愛用されている鉛筆となります。
ステッドラーは繊細でシャープな線を描く事が出来るのが特徴となっており、デッサンだけでなく製図を描く際にも適しているので、多くのデザイナーが愛用している鉛筆でもあります。
用途としては、ガラス製品や金属、コンクリートといった人工物、工業製品をデッサンするのに適しています。
きめ細かく、ツルツルとした描写でモチーフの表面を仕上げる事が出来るようにもなります。
複数のモチーフをデッサンする際は、ハイユニとステッドラーを使い分けて描く事で、メリハリを持った空間や質感表現をする事が出来るようになります。
ファーバーカステル
ファーバーカステルに関しては、どちらかと言えば鉛筆よりも色鉛筆の方が有名な鉛筆メーカーかもしれません。
コチラの鉛筆は、上で紹介した2種類の鉛筆と比べるとデッサンで使っている人は少ないかもしれませんが、芯が折れにくく、引き締まった手触り感としてオススメの鉛筆です。
ハイユニは少しねっとりとした印象ですし、一方でステッドラーはシャープな線を描くのは適しているものの、人工的なデッサンとなりがちです。
その反面、カステルはこれらの鉛筆の中間に位置するような鉛筆だと捉えて良いかもしれません。
先ほどのハイユニとステッドラーの2種類の鉛筆と比べると使用する幅がやや狭いかもしれませんが、コチラも鉛筆デッサンをする上で十分に適している鉛筆であるとも言えますね。
鉛筆の硬度と種類
デッサン用鉛筆は、芯の硬さによって分類され、一般的にH系とB系、そしてその中間のHB(F)に分けられます。
数字が大きくなるほど硬さや濃さが増し、描かれる線の質感や色調にも影響を与えます。
H系(Hard)
H系の鉛筆は芯が硬く、薄い線を描くことができます。
硬さはHから始まり、2H、3Hと数が増えるごとに硬くなり、線もより薄くなります。
H系の鉛筆は、細かい線や精密な描写に適しており、消しゴムでの修正がしやすいこともまた特徴の一つでもあります。
B系(Black)
B系の鉛筆は芯が柔らかく、濃い線を描くことができます。
Bから始まり、2B、4B、6B、8Bと進むにつれて、芯が柔らかくなり、描く線はより濃く太くなります。
B系の鉛筆は、陰影を表現したり、豊かなグラデーションを作り出すのに適している鉛筆です。
柔らかい芯は、強く押さなくても太く濃い線が描けるため、ダイナミックな表現が可能となります。
HB
HBは、HとBの中間に位置する硬さを持つ鉛筆です。
濃さと硬さのバランスが取れており、細かい描写と濃淡の表現の両方に適しています。
初心者がデッサンを始める上でも、まず使いやすいとされる硬度ですので、初心者から玄人まで使用頻度の高い鉛筆となっていますね。
鉛筆の使い分け
デッサンでは、描く対象や目的に応じて、異なる硬さの鉛筆を使い分けることが重要です。
以下では、それぞれの具体的な使い分けの例を挙げます。
輪郭や構図の下書き(2B〜H)
輪郭や下書きの線を描く際は、2BからH系(H)の鉛筆を使って線を描いていきます。
これ以上濃くなると消す事が難しくなりますし、逆に硬い鉛筆を使ってしまうと練り消しで消す際に紙を痛めてしまう事となってしまいます。
これらの鉛筆を使って薄い線で描くことで、後で消しやすく、最終的な描写に影響を与える事が少なくなります。
また、細かい部分を慎重に描く際にも適しているので、下書きから完成まで使用する頻度が高い鉛筆であると言えます。
詳細な描写(HB,F)
輪郭や細かいテクスチャー(質感)を描く際には、HBやF(HとHBの中間の濃さ)の鉛筆を使って描いていきます。
この硬さは、細部をしっかりと描きつつ、適度な濃さを持つため、リアルな描写が可能です。
また、一定の硬さがある為、折れにくいながらも濃い線を描く事もできるので、重宝する濃さでもありますね。
陰影やグラデーション(2B〜6B)
陰影やグラデーションを描く際は、2Bから6BまでのB系の鉛筆を使って描くのが主です。
柔らかい芯を使うことで、滑らかな陰影や深い黒を表現することができます。
特に、4Bや6Bは、強いコントラストや立体感を出すために効果的です。
重ね描きや濃い部分の強調(8B〜10B)
画面内で最も濃い箇所を描く際は、最も柔らかい8Bや10Bの鉛筆を使用して描く事があります。
これらの濃さの鉛筆を使う事で、濃い部分を強調したいときや、背景を塗りつぶすときに役立ちます。
また、柔らかい芯は力を入れずに描けるため、自然な濃淡を表現するのにも適しています。
個人的には、6B以上の濃さの鉛筆を使う事はあまりありませんが、黒に近い濃さを出したい場合は、これらの鉛筆に頼らざるを得ない事もありますね。
具体的な例
ここでは、それぞれの鉛筆を使用する際の具体的な例について挙げていきたいと思います。
肖像画
顔の輪郭や目、鼻、口などの細部を描く際にはHやHBを使用し、髪の毛や陰影には2Bから4Bを使用して描いていきます。
背景や深い陰影には6Bや8Bを使い、全体のコントラストを調整します。
風景画
風景画の下書きをする際は、2B〜Hの鉛筆で描いていきます。
遠景や細かなディテールにはH系の鉛筆を使い、木々や建物の影、雲の陰影などにはB系の鉛筆を使用します。
自然の中での光と影の関係を表現する際には、特に2Bから6Bの鉛筆が役立ちます。
静物画
物体の質感や光沢を表現するために、HBや2Bを使って細かい線を描き、4Bや6Bで陰影や立体感を強調して描いていきます。
重い影や強い光のコントラストを出すために、8Bや10Bを加えることもあります。
鉛筆の持ち方や角度の工夫
鉛筆の持ち方や角度、筆圧を変えるといった工夫することで、同じ硬さの鉛筆でも異なる表現が可能となります。
たとえば、鉛筆を立てて持つと細かい線が描けますが、寝かせて持つと広い面を塗りつぶす事が出来るといった感じです。
また、芯を削る長さや角度によっても、線の質感や描き心地が変わります。
このように、モチーフの質感や描きたい空間によって持ち方などを変える事で、1つの鉛筆でも様々な表現をする事が出来るようにもなります。
まとめ
今回は、デッサン鉛筆の使い分けについて詳しく掘り下げて解説をしていきました。
デッサン鉛筆は、芯の硬さに応じて使い分けることで、様々な表現が可能となります。
H系の鉛筆は精密な描写や下書きに適し、B系の鉛筆は陰影や濃淡の表現に効果的といった具合に、上手に使い分ける事で絵にメリハリをつける事が出来るようにもなります。
描く対象や目的に合わせて、鉛筆の硬さを選び、持ち方や角度も工夫することで、デッサンの幅が広がります。
これにより、より豊かな表現が可能となるので、自分なりの使い方について研究してみてくださいね!
それでは、今回はこの辺で失礼します。
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