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バロック様式の建築の特徴5つと、歴史的な背景について徹底解説!

ヴェルサイユ宮殿

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こんにちは。ペン画家の小笠原です。

僕が描いた作品です。


17世紀に入ると、美術全般を「バロック」と呼ぶようになります。

当時のヨーロッパでは、カトリックとプロテスタントとの宗教戦争が加熱しており、美術のあり方についても多様な展開をみせていました。


建築においても、自然との調和がなされていたルネサンス様式と比べ、よりドラマチックで情熱的なデザインとなってきました。

特に建物と彫刻が一体化した建築空間が作られるようになり、この時代の建築というのはパリのヴェルサイユ宮殿をはじめ、豪華絢爛な建築様式の特徴が見られますね。


非常にドラマ性の高い建築で見応えがあるので、個人的にも好きな様式の一つではありますが、今回はそんなバロック様式について解説をしていきたいと思います。

バロック様式とは?

バロック様式


バロック様式は、17世紀後半から18世紀初頭にかけてヨーロッパで花開いた芸術様式です。

この時代はカトリック教会の対抗改革や王権の強化など、社会的・政治的な変化が起きており、その影響を受けて芸術も新しい方向性を模索しました。

バロック様式はこの時代の芸術表現の一つとして、豊かな感情表現や劇的な演出、そして装飾的な華やかさを特徴としています。



バロック様式の建築は、壮麗な装飾や複雑な構造、そして劇的な視覚効果が特徴です。

曲線や対称性を活用したファサード、ドームや塔などの儀式的な要素、そして内部空間の豊かな装飾が、バロック建築の特徴的な要素となっています。

バロック様式の建築はしばしば宗教建築や宮殿、劇場などの公共建築物として建てられ、力強さや壮大さを強調しました。



また、バロック様式の絵画や彫刻も、感情豊かな表現や劇的な動き、そして装飾的な細部へのこだわりが特徴です。

人物像や寓意的な主題がドラマチックな構図で描かれ、観る者の心に深い印象を与えるよう工夫されました。



バロック様式は、イタリアを起源として広まり、フランス、スペイン、オーストリア、そしてドイツなどヨーロッパ各地で独自の発展を遂げました。

その後、植民地や新大陸でも影響を与え、南米や中米の宗教建築や美術にも見られます。



総じて言えば、バロック様式は華やかで感情豊かな表現を特徴とし、当時の社会的・宗教的な要請に応える形で芸術が展開された時代の象徴と言えます。

「バロック」という言葉の由来について


「バロック」という言葉の由来は複雑で、複数の説があります。

一般的には、ポルトガル語の「barroco」やスペイン語の「barroco」に由来するとされています。



これらの語は「不規則な形状の真珠」という意味でした。

16世紀から17世紀初頭にかけて、この言葉はある種の形容詞として広まり、特にジャンルや芸術スタイルを表す際に使用されました。



バロック様式が花開いた時期には、この言葉は芸術や建築の中で使用され、特にルネサンス期の古典的な理想からの脱却を表すために使われました。

バロック様式の芸術は、ルネサンス期の古典主義に対する反動として、より感情豊かで劇的な表現を追求しました。

この過程で、バロック様式は直線的で規則的な形状から離れ、より複雑で装飾的なスタイルを採用する事となったのです。



その後、18世紀に入るとバロック様式の時代は終焉し、新しい様式が登場していきました。

しかし、19世紀のロマン主義運動以降、バロック様式は再評価され、その豊かな感情表現や劇的な特徴が再び注目されるようになりました。



現代では、「バロック」という言葉は、芸術や音楽などの分野で特定のスタイルを指す一方で、複雑さや装飾的な要素を指す形容詞としても使用されます。

バロック様式の彫刻について

バロック 彫刻


バロック様式の彫刻は、その豊かな感情表現や劇的な動き、そして装飾的な繊細さで特徴付けられます。

この時代の彫刻家たちは、人間の感情や精神的な状態を豊かな表現力で描写し、観る者に深い感銘を与えることを目指しました。



バロック様式の彫刻の特徴の一つは、動きや瞬間の捉え方です。

彫刻は静止しているようでありながら、動きが感じられるような状態を表現します。

これにより、彫刻作品は生命力に溢れ、見る者の心を捉えます。



また、バロック様式の彫刻では、人物や寓意的な主題が豊かな装飾で飾られます。

ドラマチックなポーズや複雑な構図、そして緻密な細部までのこだわりが、作品に深みを与えます。



さらに、彫刻作品はしばしば壮麗な祭壇や宮殿の内装に取り入れられ、建築との調和を図ります。

彫刻は建築物の一部として統一感を持たせ、空間全体に豊かな美をもたらします。



代表的なバロック様式の彫刻家には、

  • ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
  • ジョヴァンニ・ロレンツォ・ベルニーニ


などが挙げられます。

彼らの作品は、バロック期の芸術の傑作として称賛されています。

バロック様式の時代

バロック様式


バロック様式の時代は、17世紀後半から18世紀初頭にかけてのヨーロッパの芸術や文化が特に隆盛した時期を指します。

この時代は、政治的・宗教的な動乱や社会的変革が起こった時期でもあります。

宗教改革と対抗改革


バロック様式の時代は、宗教改革と対抗改革の影響を受けました。

宗教的な対立や分裂がヨーロッパ全体に影響を及ぼし、カトリック教会は対抗改革を通じて自らの権威を回復しようとしました。

王権の強化


多くの国で王権が強化され、君主制が盛んになりました。

王権が強化される一方で、君主たちは芸術や建築を通じて自らの権力や威信を示そうとしました。

科学的・技術的な進歩


バロック様式の時代には、科学的・技術的な進歩がありました。

天文学や数学、機械工学などの分野での発展が芸術にも影響を与え、新しい視覚的効果や技術的な手法が取り入れられました。

植民地の拡大


ヨーロッパ諸国の植民地の拡大もこの時代に盛んに行われました。

植民地からの富や資源がヨーロッパにもたらされ、芸術や建築の発展にも影響を与えました。

社会的な変化


バロック様式の時代には、社会的な階層が複雑化し、新興の富裕層が芸術や文化にも参加するようになりました。

これにより、バロック様式の芸術や建築は広く社会に浸透しました。



総じて言えば、バロック様式の時代は複雑で多様な社会的・文化的な変化が起こり、その影響を受けた芸術や建築は豊かで劇的な表現を見せました。

バロック様式の特徴5選

ベルリン大聖堂


バロック様式の特徴は多岐にわたりますが、以下にその主な点を解説します。

劇的な表現


バロック様式の芸術は感情豊かで劇的な表現を特徴としています。

人物や主題が強い動きやポーズで描かれ、視覚的なインパクトを持ちます。

複雑な構成と装飾


バロック様式の建築や彫刻は複雑な構成と装飾で特徴づけられます。

曲線や対称性を活用したファサード、装飾的な彫刻、豪華な内装などが見られます。

神秘性と宗教性


バロック様式の芸術はしばしば宗教的な要素を含んでおり、神秘的な雰囲気を持ちます。

宗教的な祭壇や教会の内装には、壮大な装飾や神聖な雰囲気が漂います。

対比と視覚的効果


バロック様式の芸術では、対比や視覚的効果が巧みに利用されます。

明暗の対比や遠近法、そして錯視効果などが、作品の深みや立体感を強調します。

豊かな細部へのこだわり


バロック様式の作品には、細部までのこだわりが見られます。

細密な彫刻や緻密な装飾が施され、観る者にじっくりと作品を鑑賞させます。

これらの特徴は、バロック様式が芸術や建築の分野で独自のスタイルを確立し、その後の芸術にも影響を与える重要な要素となっています。

バロック様式で有名な建築


バロック様式で有名な建築物をいくつか挙げると、次のようなものがあります。

サン・ピエトロ大聖堂(イタリア、ローマ)

サン・ピエトロ大聖堂
サン・ピエトロ大聖堂

サン・ピエトロ大聖堂(St. Peter’s Basilica)は、バチカン市国内に位置するローマのカトリック教会の中心的な教会であり、キリスト教世界最大の教会建築物の一つです。

バロック様式の建築の傑作として知られ、聖ペテロの墓があるとされる場所に建てられました。

以下に、サン・ピエトロ大聖堂の特徴を詳しく解説します。

  1. 建築家: サン・ピエトロ大聖堂の設計には、ドン・ロレンツォ・ベルニーニやミケランジェロ、カルロ・マデルノ、ジョバンニ・ロレンツォ・ベルニーニなど、数々の著名な建築家が関わりました。
  2. ドーム: バロック様式の特徴である壮大なドームは、ミケランジェロによる設計です。高さは約136メートルあり、その頂上からはローマ市内を一望できます。
  3. ファサード: サン・ピエトロ大聖堂のファサードは、カルロ・マデルノによって設計されました。バロック様式の特徴である装飾的な彫刻や装飾が施されており、豪華な外観を誇ります。
  4. 内装: 大聖堂の内部には、バロック様式の彫刻や装飾が豊富に施されています。特に、バチカン市国内で最も有名な作品の一つであるミケランジェロの「ピエタ」が展示されています。
  5. 聖堂の重要性: サン・ピエトロ大聖堂は、カトリック教会の中心的な聖地であり、ローマ教皇の選挙や重要な儀式が行われる場所です。また、多くの巡礼者や観光客が訪れる観光名所でもあります。

サン・ピエトロ大聖堂は、その壮大な建築と装飾、そしてカトリック教会の重要性から、世界中から多くの人々が訪れる象徴的な場所となっています。

【補足】

サン・ピエトロ大聖堂の大ドームはミケランジェロが設計したルネサンス様式ではありますが、建設途中でミケランジェロが亡くなってしまったため、彼の死後、ベルニーニによってバロック様式の内装になっています。
そのため、サン・ピエトロ大聖堂は、ルネサンス様式でもあり、バロック様式でもあると言えます。

ヴェルサイユ宮殿(フランス)

ヴェルサイユ宮殿
ヴェルサイユ宮殿

ヴェルサイユ宮殿は、フランスの王宮として知られる世界的に有名な建築物であり、バロック様式の最高傑作の一つとされています。以下に、ヴェルサイユ宮殿について詳しく解説します。

  1. 建設と歴史: ヴェルサイユ宮殿は、フランスのルイ14世の治世下で建設されました。建設は1661年に始まり、主要な部分は1682年に完成し、その後も拡張や改築が行われました。当初は小さな狩猟用の城館でしたが、ルイ14世はその後、フランスの政治・文化の中心地としての宮殿を築くために大規模な改修を行いました。
  2. 構造とデザイン: ヴェルサイユ宮殿は巨大で壮大な構造を持ち、バロック様式の特徴である装飾的な要素が豊富に取り入れられています。宮殿は中央の本館と、それを繋ぐ広大な庭園に囲まれた翼棟から構成されています。ファサードは対称的で、装飾的な彫刻や彫刻が施されています。また、宮殿内部には美術品や優れた装飾が豊富にあり、贅沢な内装が特徴です。
  3. 庭園と水景: ヴェルサイユ宮殿の庭園は壮大で美しいものであり、バロック庭園の傑作として知られています。庭園には幾何学的なパターンや噴水、彫刻が配置され、美しい水景が楽しめます。特に「ヴェルサイユの庭園」として知られる主庭園は、宮殿の美しさを一層際立たせるために設計されました。
  4. 歴史的な意義: ヴェルサイユ宮殿は、フランスの政治的・文化的な中心地としての象徴として重要な役割を果たしました。また、18世紀における啓蒙時代の影響を受け、フランス革命の舞台としても知られています。

ヴェルサイユ宮殿は、その壮大な建築と美しい庭園、そして豊かな歴史的な背景から、世界的な観光名所となっています。

シェーンブルン宮殿(オーストリア、ウィーン)

シェーンブルン宮殿
シェーンブルン宮殿


シェーンブルン宮殿は、オーストリアのウィーンに位置するバロック様式の宮殿であり、世界遺産に登録されています。以下に、シェーンブルン宮殿について詳しく解説します。

  1. 建設と歴史: シェーンブルン宮殿は、オーストリアのハプスブルク王朝の夏の離宮として、18世紀に建設されました。宮殿の建設は1696年に始まり、フランツ・ヨーゼフ1世の統治時代に完成しました。その後、宮殿は王室の居所や重要な行事の会場として利用されました。
  2. 構造とデザイン: シェーンブルン宮殿は、バロック様式の特徴を豊富に取り入れた壮麗な建築物です。宮殿は中央の主館と、その両側に広がる翼棟から構成されており、対称的なファサードと装飾的な彫刻が特徴です。宮殿の内部には、美術品や優れた装飾が豊富にあり、宮廷の贅沢な生活を反映しています。
  3. 庭園とグラーツァー山: シェーンブルン宮殿の庭園は、美しいバロック庭園として知られています。庭園には幾何学的なパターンや花壇、噴水、彫刻が配置され、豊かな自然の風景が楽しめます。また、宮殿の裏側にはグラーツァー山があり、景観を彩ります。
  4. 歴史的な意義: シェーンブルン宮殿は、ハプスブルク王朝の歴史と文化に深く関わる重要な建築物です。宮殿は王室の夏の離宮として利用されるとともに、政治的な会議や外交交渉の場としても重要な役割を果たしました。

シェーンブルン宮殿は、その壮大な建築と美しい庭園、そして歴史的な背景から、ウィーンを代表する観光名所の一つとして人気を集めています。

エスコリアル修道院(スペイン、マドリッド)

エスコリアル修道院
エスコリアル修道院


エスコリアル修道院(El Escorial Monastery)は、スペインのマドリッド近郊に位置するバロック様式の修道院です。以下に、エスコリアル修道院についての詳細を解説します。

  1. 建設と歴史: エスコリアル修道院は、フェリペ2世(Philip II)の命令によって建設されました。建築家フアン・バウティスタ・デ・トレド(Juan Bautista de Toledo)が設計し、建設は1563年に始まりました。修道院は1595年に完成し、宗教的な機能とともに王室の住居としても使用されました。
  2. 構造とデザイン: エスコリアル修道院は、バロック様式の特徴である厳格で対称的な構造を持ちます。巨大な敷地内には修道院のほか、王宮、図書館、教会、そして王家の霊廟が含まれています。ファサードはシンプルで力強く、内部には豪華な装飾や美術品が施された礼拝堂や宮殿の部屋があります。
  3. 宗教的意義: エスコリアル修道院は、カトリック教会の中心地として重要な役割を果たしました。修道院内には宗教的な学問や文化の中心地としての役割を果たす図書館や学術的な施設が設けられ、多くの学者や宗教指導者が集まりました。
  4. 歴史的な重要性: エスコリアル修道院は、スペインの歴史と文化において重要な建築物として位置づけられています。特にフェリペ2世の統治期において、スペイン帝国の中心地としてその権威を象徴しました。
  5. 現在の状況: 現在、エスコリアル修道院は観光地として一般に公開されており、多くの観光客が訪れています。修道院内には美術館や歴史的な展示物もあり、その壮麗な建築と歴史的な遺産に魅了される人々が後を絶ちません。

エスコリアル修道院は、そのバロック様式の美しさと歴史的な価値から、スペインの代表的な観光名所の一つとして広く知られています。

サン・カルロ宮殿(イタリア、ナポリ)


サン・カルロ宮殿(Palazzo San Carlo)は、イタリアのナポリに位置するバロック様式の宮殿です。以下に、サン・カルロ宮殿についての詳細を解説します。

  1. 建設と歴史: サン・カルロ宮殿は17世紀初頭に建設されました。建築家のファミリア・サンマルティーノ(Famiglia Sanmartino)によって設計され、完成は1623年になりました。宮殿は、ナポリの貴族であるサンカルロ家の居城として建てられました。
  2. 構造とデザイン: サン・カルロ宮殿は、バロック様式の特徴である豪華な装飾や複雑な彫刻が施されています。ファサードは対称的で、大理石で豪華に飾られた窓やバルコニーが特徴です。宮殿内部には、美しい装飾が施された広いホールや部屋があり、当時の贅沢な生活を垣間見ることができます。
  3. 歴史的な意義: サン・カルロ宮殿は、ナポリにおけるバロック様式の建築物として重要な存在です。ナポリは17世紀における芸術と文化の中心地であり、サン・カルロ宮殿はその象徴的な建築物の一つとして注目されています。
  4. 現在の状況: 現在、サン・カルロ宮殿は一部が宿泊施設や博物館として利用されています。その美しい建築や装飾は、多くの観光客や芸術愛好家を魅了しています。

サン・カルロ宮殿は、そのバロック様式の美しさと歴史的な価値から、ナポリを訪れる観光客にとって重要な見所の一つとなっています。

シャルロッテンブルク宮殿(ドイツ、ベルリン)

シャルロッテンブルク宮殿
シャルロッテンブルク宮殿


シャルロッテンブルク宮殿(Schloss Charlottenburg)は、ドイツのベルリンにあるバロック様式の宮殿であり、プロイセン王国の王宮として建設されました。以下に、シャルロッテンブルク宮殿についての詳細を解説します。

  1. 建設と歴史: シャルロッテンブルク宮殿は、17世紀後半から18世紀初頭にかけて建設されました。建設は、フリードリヒ1世の妃であるソフィー・シャルロッテ・フォン・ハノーファーによって始まり、後に彼女の息子であるフリードリヒ3世(後のフリードリヒ1世)によって完成されました。
  2. 構造とデザイン: シャルロッテンブルク宮殿は、バロック様式の特徴である対称的なファサードや豪華な装飾が特徴です。中央の本館と、それを繋ぐ翼棟から構成されており、宮殿内部には美しい装飾や宝飾品が豊富にあります。また、宮殿の周囲には広大な庭園が広がっています。
  3. 歴史的な意義: シャルロッテンブルク宮殿は、プロイセン王国の重要な宮殿の一つであり、王族の居所として使用されました。また、18世紀の啓蒙時代の重要な文化的な中心地としての役割も果たしました。
  4. 現在の状況: 現在、シャルロッテンブルク宮殿はベルリンの主要な観光名所の一つとして知られており、多くの観光客が訪れます。宮殿内には美術品や歴史的な展示物が展示されており、バロック様式の美しさを堪能することができます。

シャルロッテンブルク宮殿は、そのバロック様式の美しさと歴史的な重要性から、ベルリンの文化的なランドマークとして重要な存在です。

サン・アンドレア・アル・クイリナーレ教会(イタリア、ローマ)


サン・アンドレア・アル・クイリナーレ教会(Chiesa di Sant’Andrea al Quirinale)は、イタリアのローマにあるバロック様式の教会であり、バロック建築の傑作の一つとして称賛されています。

以下に、この教会についての詳細を解説します。

  1. 建設と歴史: サン・アンドレア・アル・クイリナーレ教会は、17世紀にローマのクイリナーレ丘に建設されました。建築家のジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)が設計し、建設は1658年に始まり、1661年に完成しました。この教会は、イエズス会がサン・アンドレア・デラ・ヴァッレ教会の隣に建てたもので、イエズス会の教会として使用されています。
  2. 構造とデザイン: サン・アンドレア・アル・クイリナーレ教会は、バロック様式の特徴である装飾的な要素が豊富に取り入れられています。外観は簡素で、シンプルなファサードが特徴ですが、内部は豪華な装飾が施されています。ベルニーニが特に注目すべきデザインとして取り組んだのは、内部の楕円形のドームです。このドームは、天井の光を効果的に反射し、教会内部に明るく神聖な雰囲気をもたらします。
  3. 装飾と彫刻: サン・アンドレア・アル・クイリナーレ教会の内部には、多くの優れた彫刻や装飾があります。特に注目すべきは、ベルニーニが制作した天使の彫刻や、アントニオ・リッツィ(Antonio Raggi)が制作した天井の彫刻です。これらの彫刻は、バロック様式の豊かな感情表現と技術力を象徴しています。
  4. 現在の状況: サン・アンドレア・アル・クイリナーレ教会は、観光客や信者の参拝の場として人気があります。また、美術愛好家や建築愛好家にとっても、その優れたバロック建築と装飾が魅力的な見所となっています。

サン・アンドレア・アル・クイリナーレ教会は、そのバロック様式の美しさと歴史的な価値から、ローマを訪れる観光客にとって重要な見所の一つとなっています。


これらの建築物は、バロック様式の優美さや壮麗さを象徴しています。

バロック様式とロココ調の違い


バロック様式とロココ調は、ともに18世紀のヨーロッパで発展した芸術様式ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。

時代と背景

  • バロック様式: バロック様式は17世紀後半から18世紀初頭にかけて主に発展しました。この時代は宗教的・政治的な不安定さがあり、カトリック教会の対抗改革や君主制の強化が進行していました。

  • ロココ調: ロココ調はバロック様式の後期に位置し、18世紀中頃から18世紀末にかけて主にフランスで発展しました。この時代は啓蒙時代と呼ばれ、理性や知識の重視が進み、王権の強化が続いていました。

様式と特徴

  • バロック様式: バロック様式は力強く壮大な特徴を持ちます。豊かな感情表現や劇的な動き、そして複雑な構成と装飾が特徴であり、宗教的な要素が強調されます。バロック様式の建築や彫刻は力強さと壮大さを追求し、神聖な雰囲気を醸し出します。

  • ロココ調: ロココ調はバロック様式と比べてより優美で華やかな特徴を持ちます。自然の要素や優美な曲線が多用され、対照的な明るい色彩が好まれます。ロココ調の建築や彫刻は軽やかさと優雅さを追求し、宮廷や上流社会の嗜好に合わせて装飾されます。

対象と用途

  • バロック様式: バロック様式は宗教建築や王宮、劇場などの公共建築物に多く見られます。神聖な雰囲気や権威の象徴として、力強く壮大な装飾が施されました。

  • ロココ調: ロココ調は宮殿や貴族の邸宅、また室内装飾などに好んで採用されました。優雅さや快適さを追求し、贅沢な装飾が施されました。

総じて言えば、バロック様式は力強さと壮大さを、ロココ調は優雅さと軽やかさを特徴としています。それぞれの時代背景や社会的な要請に応じて、異なる芸術様式が発展しました。

まとめ


今回はバロック様式について解説をさせてもらいました。

古代ギリシャ時代の建築から着想を得たルネサンス様式が模範的な優等生だとすると、バロック様式はその反動からドラマ性のある豪華な装飾を施されているのが特徴となります。


個人的にはどちらも甲乙つけ難いくらい好きな様式ですし、ルネサンス様式の理性的なデザインも、バロック様式の情熱的なデザインも見応えがありますよね。

建築はその時代を象徴するものでもありますし、それが何世代にもわたって人々の目に触れる事が出来るので、時代を経るごとにその重要さを増していきます。


バロック様式の建築を見る機会がありましたら、今回の記事が参考になれば幸いです。

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