こんにちは。小笠原です。
今回は、木製の立方体ブロックのデッサンについて解説をしていきたいと思います。
立方体は正六面体となっており、六面が同じシンプルな形態となります。これは円柱や球体などと同じく基本となる形態の一つでもあるので、デッサンを学ぶ上で基礎として欠かせません。
以前、別記事で立方体の描き方の解説をさせてもらいましたが、今回は木目の付いた立方体なので、無垢の立方体より表現がしやすくなるでしょう。
立方体は基本となる形態のうちの一つでもあるので、是非ともマスターをしておきたいモチーフでもあります。
それでは、解説をしていきたいと思います。
目次
立方体をデッサンする流れ
立方体の鉛筆デッサンをする上で、全体的な流れとしては以下の7つのステップを踏まえていく必要があります。
これらのステップを踏まえていく事で、立方体の理解を深めるだけでなく、デッサンの基本を理解する事ができるようになってきます!
基本が分かればあとは自分なりにアレンジを加えたり、応用していく事が出来るので、まずは押さえておきましょう。
STEP1 . 鉛筆を使い「点」と「線」を使って形を取る
まず初めに、鉛筆の線を使って立方体の輪郭線を描いていきます。この際に、目に見えない箇所の線も描く事で、立方体をしっかりと意識する事が出来るようになります。
これはある程度デッサンに慣れた人でもやっておくと良いです。その理由として、全体的な形を確認するという意味でも、影を描く際などにも後々役に立つからです。
この際に描く仮の線の事を「アタリ」と言います。この「アタリ」の線を描く事で、大まかな立方体の輪郭を描いていきます。
アタリの線は修正をしたり、消しゴムで消してしまう線でもあるので、2Bなどの柔らかめの鉛筆を使って描くようにしておくと良いです。
STEP2 . パースを意識して線を描く
次に、立方体のパースを意識して線を描いていきます。先ほどはアタリとしての線を描いていきましたが、パースを意識して描く事で、形の狂いが無くなるようになります。
それぞれの辺の延長線上にある点を「消失点」と言います。
この消失点というのは、目線の高さとなる「アイレベル」上に位置しており、それぞれのパースの線が交わるポイントに向かって線を引いていきます。
今回解説をしている立方体は二点透視図法であるため、消失点はアイレベル上に2箇所設置される事となります。(ちなみに、一点透視図法の場合はアイレベル上に1箇所設置されます)
また、今回描く立方体は辺の長さがそれぞれ10cm程度となるため、縦方向のパースをつける必要がありません。高さを表現する際には三点透視図法を使う事となりますが、今回は高さ方向に関しては無視して構いませんので、縦のラインは垂直でOKです。
また注意点として、パースを意識して線を描く際は、立方体の辺の長さがそれぞれ同じであるという事を忘れずに調整をして描くようにしましょう。
【補足】
パースを意識して描く際は、モチーフが目線の高さよりも下にある場合、上面よりも底面の方が広く見えます。(この場合、底面はモチーフに隠れて見えませんが)
目線の高さよりも低ければ低いほど、あるいは高ければ高いほど、アイレベルよりも離れている側の面の方が広く大きくなります。
STEP3 . 遠近法を使い、全体の濃淡を描き分ける
パースを使って形を取ることが出来たら、次に鉛筆の濃淡を使って色の濃淡を付け加えていきます。
二点透視図法で立方体を描く際は、3つの面が見る事が出来ます。それぞれ1番暗い場所、2番目に暗い場所、1番明るい場所を描き分けていきます。
それぞれの色の濃淡の違いを見分ける方法として、目を細めてみる事で色の濃淡を見分けるのに役立ちます。可能であれば、スマホのカメラで撮影したものをモノクロ編集すると、それぞれの濃さが分かるようになります!
【補足】
遠近法を使う事で色のグラデーションの描き分けをしていく事が出来ます。手前が暗く、奥に行くに従って徐々に色が薄くなるといった具合です。
今回の立方体は小さいので、遠近法による濃淡のグラデーションはあまり付かないかもしれませんが、覚えておくと良いですね。
1番暗い場所の塗り方
まず初めに、暗い場所から鉛筆で塗っていきます。理由としては、暗い場所が決まる事で、他の場所の濃さを調整する事ができるようになるからです。
この際に一つ注意点として挙げると、画面内でいくら暗いからと言って、真っ黒になるまで塗りつぶさない事です。あまりにも黒くなり過ぎてしまうと、ティッシュペーパーや消しゴムをいくら使っても修正が出来なくなってしまいます。
鉛筆で1番暗い場所を塗る際は、2Bから上の濃さの鉛筆を使って濃淡を描き足していきます。それ以下の濃さの鉛筆で描いてしまうと、暗くするまでに時間がかかってしまいますし、消しゴムで修正する場合に紙を痛めてしまう恐れがある為です。
また、暗い場所は鉛筆の側面を使って描いていく事で、濃く描くだけでなく時間短縮にもなります。さらに、ティッシュペーパーを使って擦る事で、広い面を塗るのにも適しています。
ただし、このままの状態ですと面がボヤけたままの状態となってしまうので、鉛筆の先端を使って面を整えておくとメリハリが付くようになります。
2番目に暗い場所の塗り方
次に、2番目に暗い場所の濃淡を付けていきます。先ほどの最も暗い場所は2Bより濃い鉛筆を使いましたが、HあるいはHBくらいの濃さの鉛筆を使って濃淡を描いていくのがちょうど良いです。
また、先ほどはティッシュペーパーで面を擦りましたが、色ムラを整える程度に留めておいた方が無難な仕上がりになります。
1番明るい場所の塗り方
1番明るい面に関しては、ほとんど手を加える必要はありません。といっても、全く描かなくても良いという訳ではなく、濃淡を描く必要があります。
この際に使う鉛筆はHくらいの鉛筆で問題ありません。色を塗る際は、鉛筆を軽く乗せる程度で良いので、なるべく寝かせずに描いていくと良いです。
【補足】
鉛筆で濃淡をつける際は、手で画用紙を擦らないように注意して描く事が望ましいです。画面が汚れてしまったら、その都度練り消しゴム等で汚れを落としておきましょう。
STEP4 . 床面に投影される影を描く
立方体の濃淡の描き分けが出来たら、次に地面に投影される影を描いていきます。
この影は、光源を設置した方面と反対の床面に投影されます。この影を描く際は、鉛筆を画面に対して水平に描くようにしていきます。その理由として、線の方向がバラバラになってしまうと、床面が歪んで見えてしまう為ですね。
地面に投影される影を描く際は、H系のシャープな線で描いていきます。その理由として、モチーフの立方体と差別化を図るという意味でも、床面がツルツルしている方がメリハリをつける事ができる為です。
この影は、目線の高さが高ければ高いほど、画面内での影の面積も大きくなります。(アイレベルが高くなるほど、床面の影の形の誤魔化しが効かなくなってしまいますが、一般的にはそこまで気にする必要はありません。)
影の濃淡を描いた際に、影の輪郭線が残っていた場合、練り消しゴムで軽くポンポンと叩いて画用紙と馴染ませておきます。そうする事で、自然な仕上がりにする事ができる為でもあるからです。
地面の影を描く際は、遠くに向かうに従って薄く淡くグラデーションにする事で、遠近感を表現する事が出来ます。今回はそこまで距離があるという訳ではありませんが、意識して描くだけでも最終的な仕上がりが変わってきますね。
STEP5 . 全体の陰を馴染ませる
ここまで、それぞれの陰影の描き分けをしながら線を描き足していきましたが、冷静になるためにも一旦休憩を挟んだ後、自然な立方体に見えるように調整を行なっておきます。
STEP6 . 木目の質感を意識して描く
次に、木製キューブの木目を描いていきます。曲線や線の太さの強弱など、木目の特徴をしっかりと観察をしていきましょう。
木目を描く際は、鉛筆を寝かせずに、先端を使って描いていきます。この際に、HもしくはHBくらいの硬さの鉛筆が望ましいですね。
ポイントとしては木目を注意深く観察しつつ、立方体を意識しながら描いていくのがコツです。
また、木目の特徴をよくよく観察してみると、色が薄い箇所や反対に濃い箇所などがあります。それぞれを見極めて描いていく事で、よりリアルな絵に仕上げていく事ができるようになります。
もちろん、一本一本実物通りに描く必要はありませんが、最終的に絵として違和感が無いように描く事が大切です。
STEP7 . 鉛筆のタッチを使って描き込みつつ全体の調子を整える
濃淡の描き分けが出来たら、鉛筆のタッチを使ってさらに描き足していきます。先ほど、床面に投影された影は水平方向に線を描くと言いましたが、モチーフの立方体を描く際は、それぞれのパースに沿ってタッチを描き足していく事が望ましいです。
線がバラバラのタッチで重ねてしまうと、立方体の立体感を描く上で邪魔な線となってしまうので、基本的にはパースに沿ってタッチを重ねていきましょう。
ちなみに、このタッチの描き方はあくまでも基本的な描き方となりますが、味を出すためにも様々な方向のタッチを描き足していくといった技法があります。(ただし、これは基本が出来た上で使う事で効果を発揮するので、習得していない内はパースに沿ったタッチを描くようにしておきましょう)
完成
最終的に、絵全体の調子を整える事で、仕上げていく事が出来ます。H系の鉛筆を使ったり、先端のエッジを使って描く事でカチッとした表現として引き締まります。
他にも、立方体の細かな凹凸や、地面との設置面、木目の細かなディティールなどを描き込む事で完成度を高めていく事にもなります。
あとは余白の部分の汚れを練り消しゴムで消したら完成です!
まとめ
今回は木製立方体のデッサンについて解説をさせてもらいました。立方体は基本の形態の一つでもあるので、デッサンを習得していく上で必須のモチーフとなります。
また、木目を描く事で、より質感を演出する事が出来るようになります。
モチーフの特徴を捉える事は、デッサンをする上で大切な視点でもあるので、是非とも観察をしていきましょうね。
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