こんにちは。ペン画家の小笠原です。
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風景画や建築写生などをする上で、木は重要なモチーフの1つとなっています。
画面の中で、木が生えているかそうでないかだけでも印象が大きく変わるので、絵のメインでは無いものの、画面を引き立たせる要素として重要な役割を持っています。
僕が美大予備校生だった頃は、メインとなる建物の描写ばかり気を取られており、木の表現が疎かになってしまった為、作品全体で見たらかなり足を引っ張っていました。
そこから木の描写にも力をいれるようになってからは、絵が劇的に上手くなり、先生からも評価されるようになってきましたね。
そこで今回は、ペン画で木を描く際のテクニックについて詳しく説明いたします。
ここでは、木のさまざまな要素ごとの描き方や、使うペンの種類、さらに陰影の細かい表現についても触れていきます。
目次
【ペン画】木の描き方の8つのステップ
ペン画で木を描く際には、線のコントロールや陰影の付け方に工夫が必要です。
以下に、ペン画の木を描く基本的なステップを詳しく説明いたします。
【ステップ1】ペンの種類と使い方
ペン画で使うペンには、いくつかの種類があります。
まずはそれぞれの特徴を理解し、目的に応じて選ぶ事で、描写の幅を広げていく事となります。
ミリペン
ミリペンは細かいディテールを描くのに最適です。
線の太さが一定で、0.03mmや0.1mmといった極細ペンから、0.8mmや1.0mmといった太めのペンまで選べます。
これらのペンは、木の細部を描き込む上で非常に便利です。
筆ペン
筆ペンは筆のように使えるペンで、太さに変化を持たせた力強い線や柔らかな線が描けます。
また、実際の筆と比べて脱着可能なキャップが付いているので、筆のような滑らかさで場所に囚われる事なく気軽に扱う事が出来ます。
特に、木の幹や枝の力強さを表現するのに便利ですね。
筆ペンだけで水墨画のようなタッチで描く事も出来るので、作風と合わせて使うと良いです。
【ステップ2】木の全体的な形を捉える
道具選びが済んだら、まずは最初に木の全体的なシルエットを捉えていきます。
まずは下書きとして鉛筆と消しゴムを使い、木の全体像を捉えていきましょう。
下書きを済ませたら、ペンで下絵を描いていきます。
ペン入れをする際のイメージとして、太くて力強い幹、枝の広がり、葉のボリューム感を表現する事が大切です。
ペンで直接描く場合、軽くスケッチするように細い線を使って形を捉えましょう。
【ステップ3】木の幹と樹皮の詳細な描写
木の幹や樹皮の描写には、細部に注意を払いながら描くことが重要です。
幹の質感や年輪の表現を考慮しつつ、以下のテクニックを取り入れてみてください。
樹皮の質感
樹皮にはしわや割れ目があります。
太くて丈夫な幹の場合、太いラインでしわやひび割れを表現し、細かいペンでさらにディテールを描き込みます。
線の方向を変えることで、樹皮の凹凸や立体感を出すことができます。
節とコブ
木にはしばしば節やコブがあり、これは木の成長過程を示す特徴的な部分です。
節を描く際には、円や楕円形を使い、その周りにしわが寄るように線を描くと自然な表現が可能です。
コブは立体感を意識して、影をつけることで存在感を出します。
【ステップ4】陰影の高度な表現
ペン画で陰影をつける方法はいくつかありますが、ここでは高度なテクニックについて解説します。
点描(ドット描写)
点を使って陰影を表現する技法です。
点の密度を調整することで、光と影の効果を細かく表現できます。
時間はかかりますが、非常に繊細でリアルな陰影を作り出すことができます。
葉や細かい枝に適しています。
ハッチング
陰影を付けたい部分に、同じ方向に繰り返し線を引く技法です。
光が当たっていない部分や、幹や枝の陰になる部分に使います。
クロスハッチング
より深い陰影を付けたい部分には、異なる方向から線を重ねて描くクロスハッチングが効果的です。
濃淡を調整しながら描きましょう。
ランダムハッチング
通常の平行線やクロスハッチングに加え、ランダムな方向に線を描く方法です。
自然の不規則さを表現するのに効果的で、木の表面や葉の影をリアルに描写できます。
グラデーションハッチング
線の密度や太さを徐々に変えることで、滑らかなグラデーションを作る技法です。
光が当たる部分から影になる部分への滑らかな変化を表現できます。
【ステップ5】枝の複雑な表現
木の枝や葉は、細かく描き込むことで全体の立体感やリアリティが増します。
枝の重なり
枝は重なり合って見えることが多いので、奥行きを意識して描きます。
手前の枝を太く、奥の枝を細く描くことで遠近感を出すことができます。
また、枝が交差する部分には影をつけて立体感を強調します。
【ステップ6】葉の表現
葉の描写
葉の描写の際は、葉の密度や形状に注意を払いながら描きます。
細かい葉を1枚1枚描く場合、全体のバランスを見ながら、葉が密集している部分と空間の部分を調整します。
また、葉の陰影を細かく描き込むことで、木全体に深みを持たせます。
密集した葉
葉が密集している場合、全体のボリューム感を先に描いてから、その後、小さな曲線や点描で葉を表現します。
密集している部分にはハッチングやクロスハッチングで陰影を追加し、立体感を強調して描いていきます。
まばらな葉
まばらな葉の場合は、枝の形が見えるよう注意しつつ配置していきます。
枝の影や葉の重なりを意識しながら、ランダムに葉を描き込むと自然な印象になります。
【ステップ7】木の根元や地面の描写
木を描く際には、地面や根元の描写も重要です。
一般的に木の根は木の高さと同じくらい地中に埋まっていると思われていますが、大体1〜2m程度の深さとなっており、木の幅と同じくらいの広がりであると言われています。
台風の影響で、根本から木がなぎ倒されている様子をテレビの映像で見かける事がありますが、これくらいの長さの根でよく全体を支えられているなと思わされますね。
実際に描く際は、木がしっかりと地面に根を下ろしている印象を与えるために、以下のポイントに気をつけながら描いていきましょう。
根の描写
木の根を描く際は、地面に埋まっている部分と、表面に出ている部分を描き分けます。
地表に出ている根は、木の幹や枝と同様に立体感を意識して描きます。
根が絡み合うような部分に関しては特に注意深く、陰影を付けて描いていきます。
地面のテクスチャー
木の根元には、草や石、落ち葉などが自然に積もっています。
これらを細かい線や点描で表現すると、木全体がより自然に見えます。
地面に影を落とすことで、木がしっかりと地に立っている感じを強調できます。
【ステップ8】全体の調和とバランス
最後に、木全体のバランスを確認し、必要に応じて細部を調整します。
木の根元に草や地面の影を追加することで、より完成度の高い絵に仕上がります。
ペン画は細かい部分に集中することが多いですが、全体の調和とバランスも忘れずに確認しましょう。
細かいディテールを描き込みながらも、木全体の形やボリューム感が自然に見えるように調整することが大切です。
ペン画は一度描いた線を消すことができないため、慎重に進めながらも、柔軟な表現を心がけるとよいでしょう。
練習を重ねることで、自然な木の表現ができるようになります。
まとめ
ペン画で木を描く際には、細部に注意を払いながら、全体のバランスを意識することが上手に描く際のコツとなります。
繰り返し練習を重ねる事で、さまざまな木の種類や形状、質感を描けるようになります。
また、自然を観察し、その微妙な表現を取り入れることで、よりリアルな木の描写が可能になります。
日頃から観察する力を養う事で、木の描写をする際に大いに役立てていく事が出来るようになってきます。
それでは、今回はこの辺で失礼します。
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