デッサンをする際は、
基本的には目の前にモチーフが
置かれた状態で描きますが、
モチーフの種類や状況によっては
準備できない事もあるかもしれません。
僕自身、作品制作をする上で
写真を参考にする事は多々あるので、
必ずしも写真を否定する立場では
ありません。
実物を見ながらですと
モチーフによっては
動いてしまう事もありますし、
良い写真が撮れたら
それを元に制作に取り掛かる事も
出来ますからね。
ですが、デッサンをする際に
写真を使うのはオススメしない、
あるいはだめな理由についても
実はいくつかあったりします。
特にデッサンを習いたての初心者の方は
なるべく実物を見ながら
デッサンをする事をオススメしたいですね。
そこで今回は、
デッサンをする際になるべく
写真を使ってはいけない理由
というテーマについて、
詳しく解説をしていきたいと思います。
目次
デッサンで写真を使うのがだめな理由
デッサンをする際に
写真を使うことがだめな理由としては、
以下のような点にあります。
1. 平面的な絵になってしまう

そもそも、写真について言い換えると
三次元の現実世界にある物体を
フィルター越しに二次元の画像に
落とし込んで変換したもの
であると言えますよね。
この過程で、実際に目で見ているものよりも
奥行き感や立体感が失われることがあります。
その為、デッサンを学ぶ上で重要な要素である
「立体的な構造を理解する力」
というものが養われにくくなってしまう事に
繋がってしまうからなのですね。
デッサンをする際に、
実際のモデルやオブジェクトを
しっかりと観察することで
形状の変化や影の落ち方や空気感など、
三次元空間の微細なニュアンスを
感じ取ることができます。
仮にデジタル技術がいくら発達しようとも、
肉眼でないと捉える事が出来ない
その場の空気感などもありますからね。
ですが、写真から描き写した場合、
どうしてもその一部が
失われてしまうことがあります。
言い換えると
「三次元の物体⇨平面」
ではなく、
「二次元の画像⇨平面」
となってしまうので、
その分得られる情報が
限られてしまうという事でもあります。
実物から得られる情報というのは、
五感を使って様々な要素を
得る事が出来ます。
ですので、そう言った意味でも
写真からではなくて
実物を観察しながらデッサンをするのが
望ましいと言えますね。
デッサンを習得する上で
モノの捉え方の練習となる
モチーフについては
以下の記事で詳しくまとめています。
こちらもあわせて
ご覧になって下さい。
2. 視点が固定される

写真は特定の視点から
撮影されたものとなっているので、
当然その視点は固定されています。
これにより、写真に写っている視点からしか
対象物を観察することが
出来なくなってしまうのです。
実際に物体を観察する際には、
視点を変えることで異なる角度や
見え方を確認することができるため、
モチーフをより深く理解することができます。
一方で写真のみを参考にしてしまうと、
この視点の変化が制限されてしまう事と
なってしまいます。
このような理由からも
写真を使う事がだめな理由の一つとして
挙げられます。
3. 光と色が制限される

写真は撮影時の光源や露出などの
条件に依存しているので、
現実の光や色の変化を忠実に
再現できない事があります。
例えば、自然光の下で見た色合いや影の濃淡は、
写真では異なって見える事がある
といったイメージです。
特にデッサンにおいては、
光と影の関係を理解することが重要であり、
写真ではその学習が不十分になってしまいます。
これはデッサンをする目的の1つでもある
「モチーフの形態を理解して正確に描写する」
という事から離れてしまうので、
なおさら注意が必要ですね。
4. 感性と観察力を鍛える事が出来ない

デッサンをする際には、
「観察力」
を養うことが重要です。
実際の物体を観察することで、
モチーフのや空間の細部に気づき、
その微細な変化を表現する力が
身につくからです。
一方で写真を使ってデッサンをする場合、
その場での観察を省略してしまう事となり、
自分自身の感性や観察力を鍛える機会が
減ってしまう事となってしまいます。
この状態が常習化してしまうと、
写真を元にした絵に
依存する形となってしまうので、
自分で思い通りに絵を描く事が
難しくなってしまいます。
それを言い換えると
「応用ができない状態」
となってしまうので、
長い目で見たら日頃から
実際のモチーフを観察しながら
デッサンをする訓練をオススメします。
5. 創造性が制限される

写真に頼ったデッサンを続けていると、
既存の画像を模写や
トレースする事に留まりやすく、
創造的な表現が制限される
ことがあります。
デッサンは見たものを
そのまま描くのではなく、
観察を通じて得た情報を元に、
独自の表現を追求するための
練習でもありますからね。
ただし、模写やトレースをする事自体は
問題ありませんし、
技術の習得や学習用として
大いに役に立てる事が出来ます。
もちろん著作権や肖像権を無視した
トレースや模写に関しては
商業利用が出来ないので、
あくまでも練習用に限りますが、
経験を得る上では有効的です。
ですが、その反面写真を使う事で
その独自性や創造性が損なわれる
恐れがあります。
これは創作活動をする上での
足枷となり得てしまうので、
ケースバイケースではありますが
気を付けておきたいところです。
6. 著作権の問題

写真を参考にする上で
特に気をつけなければいけないのが
「著作権」
に関する問題です。
自分で撮影した写真であれば良いのですが、
それでも場合によっては著作権、
あるいは肖像権の侵害に当たってしまうので
注意が必要です。
著作権の賠償については
コチラのサイトで詳しく解説されているので
ご覧になってみてください。
【弁護士法人 咲くやこの花法律事務所 企業法務の法律相談サービス】
⇨https://kigyobengo.com/media/useful/318.html
(外部サイトにアクセスします)
人物はNGな場合がありますが、
風景や動植物、数百年前に建立された
寺社仏閣などであれば
使用する可能性は高いので、
使用する際は事前に調べておくと
良いでしょう。
また、著作権フリーのサイトを利用する事で、
安全に写真を使う事が出来ます。
僕が普段使っているオススメの
著作権フリーのサイトを
いくつか載せておくので、
良かったら参考にしてみてください。
【著作権商用フリーサイト】
【pixabay】
⇨https://pixabay.com/
【photo AC】
⇨https://www.photo-ac.com
(外部サイトにアクセスします)
写真を効果的に使う方法
参考として写真を使うのはアリ
記事の冒頭でも言いましたが、
僕自身、写真を参考にしつつ
制作を行う事が多々あります。
やはり実物をデッサンするというやり方は、
モチーフによっては準備するだけで
難しいものもありますし、
そもそも肉眼で見る事が出来ないものも
あるからです。
そんな時は、先ほども紹介した
著作権フリーのサイトを利用したり、
最近ではAIによって画像を生成した画像を
使用する事もあります。
基本的には実際に肉眼で見たものを撮影して
参考資料として使っていますが、
どうしても自分では
撮影できないものに関しては、
このような使い方をするのも一つの手段です。
模写やトレースのため
近年のトレパク報道によって、
一部では
「トレースをする事自体が悪」
みたいな風に言われていますが、
それは間違いです。
トレースというのは、
写真の上にトレーシングペーパーを重ねて
絵のモチーフの輪郭線を
なぞる技法ではありますが、
これ自体は何も違法性もありませんし、
実際に商用利用として使っている
作家さんも数多くいます。
実際に僕自身もトレースをして
制作をした事もありますし、
コラージュなんかをして
描いたものもありますね。
ちなみに、トレパクというのは
「写真をトレースしてパクる行為」
を意味しています。
トレースをする事自体は一つの技法なので、
何も後ろめたいことはありません。
ですが、元となる写真や画像自体に
著作権や肖像権がある場合は話が別です。
例えば、自ら旅費や機材費用などを
自腹で払って自分で海外に足を運び、
そこで撮影をした風景等は
トレースをしても何の違法性もありません。
ですが、他人が撮影した写真には
その人が撮影をした事による
著作権が発生します。
仮に他人が撮影した写真を
無断で使用した場合、
損害賠償や差止請求などを
受ける可能性が高いので注意が必要です。
まとめ
今回はデッサンをする際に、
写真を使って描くのが
ダメな理由についてまとめました。
以上の理由から、
特にデッサンの学習初期には、
写真よりも実物を観察して描く方が
望ましいと言えますね。
とはいえ、写真を参考にしたり
トレースや模写をする事自体は
全く問題ではありませんし、
特定の技術を学ぶ為や
資料収集といった参考としてであれば、
有効な手段となり得てきます。
もっとも、実物を観察と組み合わせる事で
より豊かな表現力が身につくことが
出来るようになりますけどね。
それでは、今回はこの辺で失礼します。
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