こんにちは。ペン画家の小笠原です。
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花というモチーフは、絵を描く上でよく描かれているモチーフの一つでもあります。
動物と違い、動く事はないので、描写をする上で初心者にとっても描きやすいモチーフでもありますね。
花はデッサン、水彩画、油画、日本画、切り絵など、ありとあらゆる制作スタイルで描かれますが、ペン画に関しても例外ではなく描かれています。
僕自身、過去にペンで花を描いた事もありましたが、描く上で様々な発見もありました。
また、他にも花をモチーフとした絵を何枚も描いていますし、他のモチーフと組み合わせる事で空想の世界観を作り上げる事もありました。
作品作りをしていく上でも、花や植物などは多くのインスピレーションも与えてくれるモチーフでもありますね。
そこで今回は、ペン画で花を描く技法について、より詳細に解説いたします。
各ステップでの注意点やコツについてもお伝えしますので、よければ参考にしてみてください。
目次
ステップ1. 準備(道具選び)
ペンの種類
ペン画に使用されるペンは、一般的に耐水性で顔料が含まれているインクのペンとの相性が良いです。
サクラクレパスのPIGMAや、ステッドラーのピグメントライナー、ファーバーカステルのピットアートペンなどがおすすめです。
ペン先の太さは0.03mmから1mmまで幅広くありますが、自分が描きやすいペン、もしくは用途に応じて使い分けて描くと良いですね。
ペンの太さの使い分け
ペンの使い分けとしては、細いペン(0.03mm~0.1mm)は細部の描写に、太いペン(0.3mm~0.5mm)は主線や輪郭に使うと、メリハリがつきます。
紙の選び方
ペン画に適した紙は滑らかで、インクが滲みにくいものが良いです。
ケント紙やスムースタイプの水彩紙などが適しています。
また、サイズや厚みも考慮し、自分のスタイルに合ったものを選んでください。
鉛筆と消しゴム
下描きをする際は、鉛筆と消しゴム(練り消しゴム,プラスチック消しゴム)を使います。
道具に関しては、デッサンで使用するものと同じで構いません。
この際に、柔らかい鉛筆(HBやB)がおすすめです。
後でも説明しますが、最終的にペン入れを行うので、鉛筆での下書きの線はなるべく薄く描く必要があるからですね。
ステップ2. 観察と構造を理解する
制作の準備を済ませたら、モチーフの観察だけでなく花の構造を理解して描く必要があります。
以下では、その手順について解説していきます。
花の基本構造
花の構造を理解するためにも、実際の花や写真をじっくり観察しましょう。
あるいは、参考資料として植物図鑑などで調べるのも良いですね。
その際に、
- 花びらの形状
- 花びらの数
- 中心からの放射状の配列
- 配置
- 花の重なり具合
- 茎や葉の付き方
と言ったように、全体のバランスを観察してみてください。
花の中心から放射状に広がるパターンを意識する事で、描く際に形が整いやすくなります。
どの花でも、中心から外へと広がる形が基本ですが、花の種類によって配置やバランスが異なるため、それらも観察していきましょう。
透視図法と遠近法の活用
花が斜めに配置される場合、透視図法を活用して花びらの角度や位置関係を正確に描きます。
これにより、花がより立体的に見えるようになります。
また、遠近法を使う事で、花と葉の位置関係であったり、重なり具合などの描写にも役立てていきます。
ステップ3. 下描きのコツ
構図を考える
花を描き始める前に、まずは全体の構図を考えます。
紙に対して花の大きさや位置、茎や葉のバランスを意識して、最初に軽くラフスケッチを描いてみましょう。
いきなり下絵を描くのが不安だと思うのであれば、スケッチブックを使ってイメージを固めておくと良いです。
描く絵のイメージが定まっていると、描き始めから完成までのイメージが持ちやすくなるので、その分手が進みやすいです。
完成形がイメージできていないと、地図もコンパスも無しに目的地に向かうようなものですからね。
構図が決まったら、詳細な下描きを始めていきます。
中心点の設定
花の中心を基準にして、放射状に花びらを配置していきましょう。
こうする事で、全体のバランスが崩れにくくなります。
軽いタッチで描く
鉛筆での下描きは、あくまでガイドラインなので、軽いタッチで描くように心がけると良いです。
先ほども言ったように、ペン入れをした後に下書きの鉛筆の線は消しゴムで消す為です。
なのでなるべく鉛筆の跡が残らないように注意しましょう。
ステップ4. ペンでの描写技法
輪郭線の描き方
最初に、花びらや葉の輪郭をペンで描いていきます。
このとき、線の太さを一定にするのではなく、強調したい部分は少し太く、繊細な部分は細く描く事で、より絵に動きと立体感が生まれます。
重なりの表現
花びらが重なる部分であったり、葉が花の後ろにある部分は、しっかりと影をつけたり、線の密度を高めたりすることで奥行きを表現します。
また、前面の部分はより明るく、後ろに回る部分は暗く描き分けることで、遠近感が強調されます。
線の流れを意識する
自然な線を描くために、線を引く方向や長さを意識しましょう。
花びらや葉の形に沿った流れるような線を引くことで、柔らかさや動きを感じさせることができます。
ステップ5. 陰影のつけ方
クロスハッチング
クロスハッチングは陰影をつける代表的な技法で、交差する線を使って濃淡を表現します。
線を密集させることで暗い部分を作る事が出来、まばらにすることで明るい部分を作ります。
このとき、角度を変えた複数の層を重ねたハッチングをする事で、深みのある陰影を表現する事が出来るようになります。
ドット
ドットは点描法とも呼ばれ、細かい点を打って陰影を表現する技法です。
点の密度を調整することで、滑らかで柔らかい陰影を作ることができます。
この技法は、特に微細な陰影や、花びらの柔らかさを表現するのに適しています。
部分的に点描を使う人もいれば、点描のみで制作する「点描画」を描く方もいるので、自身の作風に合わせて制作していくと良いですね。
【補足】
点描画は、砂絵のような砂絵のようにザラザラしたようなタッチが特徴的ですが、作風として上手く落とし込む事で、一つの表現技法として成立します。
グラデーション
線や点の密度を変えることで、滑らかなグラデーションを作ります。
これにより、自然な光の当たり方や、花びらの滑らかな曲線を表現する事が出来るようになります。
グラデーションは、絵を描く上での基本的な手法の一つでもあるので、ペン画以外にも様々な技法を描く上で応用する事が可能となります。
ステップ6. 仕上げと調整
細部の調整
描き進めていくと同時に、全体のバランスを見ながら細かい部分の陰影を追加したり、輪郭線を整える事も同時進行で行います。
また、必要に応じてハイライト部分を残すか、白いインクやホワイトペンで加えることも可能です。
全体的に描き込みを強めてしまうと、画面全体が真っ黒になってしまうので、力の加減を意識しながら注意して描くようにしましょう。
ペンは一度描いてしまうと修正する事が難しいので、描き込みと力を抜く箇所の両方を意識しながら描き進めていく必要があります。
全体の統一感を確認
最後に全体のバランスを見て、統一感があるかを確認します。
陰影の強さや線の太さが不均一だと、絵全体の調和が崩れることがあるため、注意深く調整しましょう。
ステップ7. 練習と発展
様々な花を描く
1種類の花だけでなく、様々な花を描く事で、技術の幅を広げる事が出来るようになります。
花の種類によっては色や形、葉っぱの数も異なるので、違う種類の花を描くたびに新たな発見もありますからね。
それぞれの花ごとの異なる形状やパターンを学び、自分の描写力を高めていきましょう。
背景や装飾の追加
花だけでなく、背景に葉や茎、あるいは装飾的な要素を加えることで、作品全体がより豊かになります。
これにより、花が浮き上がるような効果や、全体の構図が引き締まります。
背景を描かず、シンプルにまとめ上げるのも良いですが、背景を描く事で絵の印象も変わってくるので、作品にあった装飾を模索していくと良いですね。
ステップ8. 作風を確立する
自分のスタイルを見つける
たくさんのペン画を描くことで、あなた自身の独自のスタイルが生まれてきます。
緻密な描写はもちろんの事、簡素化したシルエットの表現など、どんなスタイルが自分に合っているかを見つけるためには、様々なアプローチを試してみることが大切です。
ペン画という技法だけでも、様々な描き方やタッチが存在するので、他には無いオリジナルな表現を確立していくと良いですね。
色の追加について
ペン画に水彩や色鉛筆、カラーインク等で色を加える事で、また違った表現を楽しむ事が出来ます。
インクが乾いた後に、軽く色を加えることで、作品にさらなる深みが生まれます。
ペン画は透明水彩絵の具との相性も良いので、上手く組み合わせる事で色彩鮮やかな表現にしていく事も出来ます。
僕個人としては、カラーインクと併用していますが、自分に合った制作スタイルを見つけていくのが望ましいです。
まとめ
今回は、ペン画で花の描き方についての手順とコツについて解説をさせてもらいました。
これらの技法を駆使して、ペンで花を描く際のスキルを磨いていってくださいね。
ペン画は描くたびに新しい発見があるので、次第に自分のスタイルを確立していくことができるでしょう。
それでは、今回はこの辺で失礼します。
ではでは。
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