こんにちは。画家の小笠原です。
古代ローマ時代に造られた建築群は、現代においては有名な観光地として名を馳せていますが、当時の文化の発展や時代背景を知る上で欠かせないものとなっています。
映画や小説、ゲームなどの創作物においても使われることもありますので、今なお人々を魅了する時代でもあるのだと思わされます。
今回は、そんな古代ローマ時代を彩った建築群について、それらの特徴や歴史的背景などを踏まえて解説をしていきたいと思います!
目次
古代ローマ時代の期間
古代ローマ時代とは、一般的に紀元前753年のローマの建国から476年の西ローマ帝国の滅亡までの期間を指します。
この期間には、共和制時代と帝国時代の両方が含まれています。
共和制時代は紀元前509年から紀元前27年まで続き、その後は帝国時代が始まります。
帝国時代は、最初の皇帝であるアウグストゥス(紀元前27年から14年)によって始まり、西ローマ帝国が476年に滅亡するまで続きました。
古代ローマ建築に見られる特徴8選
古代ローマ建築は、その壮大さ、技術の先進性、そして美的感覚において、現代に至るまで大きな影響を与え続けています。
以下では、古代ローマ建築の主要な特徴についての詳細となります。
1. アーチとヴォールトの使用
古代ローマ建築の革新の一つに、アーチとヴォールトの使用があります。
これにより、建物はより広いスペースを支えることができ、天井を高くすることが可能になりました。
アーチは、より大きな負荷を均等に分散するため、より大きな構造物を建設することを可能にしました。
これが後のロマネスク様式における建築においても、綺麗な半円形のアーチの特徴が受け継がれていく事となります。
2. コンクリートの発明と使用
コンクリートと聞くと、現代の技術のように思われるかもしれませんが、古代ローマ時代の建築技術にすでに取り入れられていました。
ローマ人は、火山灰を混ぜた独自のコンクリートを発明し、これを広く利用しました。
このコンクリートは非常に強固で水に強い為、これにより大規模な公共建築やインフラを建設することが出来たのです。
パンテオンのドームやコロッセオの構造は、コンクリートの使用によって実現されたものとなっています。
3. 公共施設の建設
古代ローマでは、公共施設が数多く建設されました。
これには、浴場、劇場、アリーナ、フォーラム(公共広場)、水道橋(アクエダクト)などが含まれます。
これらの施設は、市民の生活の質を向上させるとともに、ローマの繁栄と技術力を示すものでした。
4. モニュメンタルな建築
ローマ建築のもう一つの特徴は、モニュメンタル(記念碑)な規模と壮麗さです。
例えば、トラヤヌスの列柱や、カラカラ浴場のような巨大な公共浴場は、その規模と装飾の豪華さで有名です。
これらの建築物は、皇帝の権力とローマの栄光を示すために建設されました。
5. オーダーの使用
ローマ建築では、ギリシャ建築から取り入れたドリス式、イオニア式、コリント式のオーダー(柱の様式)が広く使用されました。
これらのオーダーは、建物の外観に威厳と調和をもたらしました。
古代ギリシャ建築の特徴等については、以下の記事を参考にしてみてください。
6. 機能性と美の融合
ローマ建築は、美しさと機能性を融合させることを目指しました。
これは、例えばアクエダクトのようなインフラが、単に水を供給するためのものであるだけでなく、美しいアーチを持つデザインとなっていることに表れています。
現代においてもローマ時代の美というのは、時代を超えた洗練さが際立ちますね。
7. 都市計画
ローマ人は、都市計画にも優れた才能を発揮しました。
彼らは都市を格子状に計画し、主要道路や公共施設を中心に据えました。
フォーラムは都市の中心に位置し、市民生活の中心となる場所として設計されました。
8. 装飾と彫刻
ローマ建築は機能性だけでなく、装飾も優れていました。
建物の外壁や内部には、彫刻やフレスコ画、モザイクなどの装飾が施されていました。
これらの装飾は、神話や歴史的な出来事を描き出し、建物に美しさと歴史的な深みを与えました。
古代ローマ建築を代表する建築6選
それでは、古代ローマ時代に造られた有名な建築についてご紹介させてもらいます。
どれも観光地として有名な建造物ではありますが、歴史的な背景を含めて知る事で、よりその建築に魅力を感じる事となると思います。
コロッセオ
コロッセオは、古代ローマ時代に建設された円形競技場であり、その名前は「巨大な」という意味のラテン語「colosseus」に由来しています。
この建物は、紀元70年から80年頃にローマ皇帝ヴェスパシアヌスとその息子ティトゥスによって建設されました。
コロッセオは、ローマ帝国の威信を示すために建設され、公衆娯楽や戦闘の舞台として使用されました。
その主な用途は、剣闘士の戦いや野獣との戦闘、さらには海戦を模した船の戦いなど、様々な娯楽イベントを開催することでした。
建物の形状は円形で、高さ約50メートルあり、その外壁は大理石や煉瓦で覆われています。
コロッセオの座席は約5万人を収容できるほどの大きさがあり、上層階には社会的に上位の人々が座るVIP席が設けられていました。
コロッセオの建設は、当時の技術の頂点を示すものであり、その設計と構造は驚異的なものでした。
しかし、年月とともに荒廃が進み、地震や略奪によって一部が破壊されました。
それでもなお、コロッセオはローマの象徴的な建築物として知られ、現在でも多くの観光客が訪れる場所です。
パンテオン
パンテオンは、古代ローマの代表的な建築物の一つとして有名です。
その名前は古代ギリシャ語で「すべての神々」を意味し、神々への敬意を表しています。
建物は紀元前27年から紀元前25年にかけて建設され、当初はアグリッパの神殿として知られていましたが、その後何度か改築されています。
パンテオンの最も特徴的な部分は、巨大な円形のドームです。このドームは建築の傑作であり、その直径は約43メートルあります。
ドームの上部には、”オクルス“と呼ばれる中央の開口部があり、外部からの光や雨水を取り込みます。
内部には円形の中庭があり、その周囲には多くの神々に捧げられた祭壇が配置されていました。
建物の中央には、神々の祭壇として知られる大理石の祭壇がありました。
パンテオンは古代ローマの宗教儀式の場として利用され、後にキリスト教の教会としても使用されました。
そのため、内部にはキリスト教の装飾や聖像も追加されました。現在、パンテオンは観光名所として知られ、その壮大な建築と歴史的な重要性から多くの人々が訪れます。
カラカラ浴場
カラカラ浴場は、古代ローマの代表的な公共浴場の一つであり、ローマ皇帝カラカラによって建設されたことからその名が付けられました。
この浴場は紀元前212年から216年の間に建設され、その規模と壮麗さで当時のローマ帝国の威信を示すものでした。
カラカラ浴場は非常に広大な施設であり、様々な浴槽やプール、マッサージ室、トイレ、更衣室、さらには図書室や庭園まで備えていました。
これらの施設は一般市民だけでなく、ローマのエリートや皇帝自身も利用することができました。
建物は大理石や装飾的な彫刻で飾られ、その壮麗さは当時の人々を圧倒しました。
また、カラカラ浴場は水道システムによって給水されており、その水源は遠く離れた地域からもたらされました。
これによって、浴場は清潔で豪華な環境を提供することができました。
カラカラ浴場はローマの社会生活において重要な役割を果たし、公共の場として多くの人々が集まる場所でした。
その壮大な建築と高度な技術は、古代ローマの建築の傑作として称賛されています。
ティベリウスの宮殿
ティベリウスの宮殿は、古代ローマの皇帝ティベリウスが建設した宮殿で、現在のイタリアのカプリ島に位置しています。
この宮殿は、ティベリウスが皇帝として統治した時代に建設されました。
ティベリウスの宮殿は、カプリ島の断崖絶壁に建設されており、その建築は周囲の景観に調和するように設計されています。
宮殿は複数のテラスや庭園で構成されており、美しい眺めを楽しむことができます。
また、地下には興味深い構造があり、ローマ時代の遺物が展示されています。
この宮殿はティベリウスの隠遁地としても知られており、彼は後半生をここで過ごしました。
ティベリウスはローマの政治的な混乱や不安から逃れるために、しばしばカプリ島に滞在しました。
ティベリウスの宮殿はその建築美や歴史的な価値から、今日でも多くの観光客や歴史愛好家が訪れる場所となっています。
その景観や建築は、古代ローマの皇帝の富と権力を象徴しています。
トラヤヌスの列柱
トラヤヌスの列柱は、ローマ帝国の皇帝トラヤヌスによって建てられた記念柱であり、紀元前2世紀のローマのフォーラムに位置しています。
この列柱は、ローマの戦勝を祝うために建設され、トラヤヌス帝のダキア戦争における勝利を記念しています。
トラヤヌスの列柱は高さ約30メートルで、純粋な大理石で建設されています。
柱はらせん状になっており、その外側にはレリーフ彫刻が施されています。
これらの彫刻は、トラヤヌス帝のダキア戦争での戦闘やその他の重要な出来事を描いています。
レリーフは非常に詳細に彫られており、当時の戦争の様子やローマ軍の戦術を生き生きと表現しています。
また、柱の上部にはトラヤヌス帝の銅像が設置されており、かつてはローマのフォーラム全体を見渡すことができました。
トラヤヌスの列柱はその優れた彫刻技術や歴史的な重要性から、今日でもローマの名所の一つとして知られています。
この記念柱は古代ローマの栄光を称えるだけでなく、その美しさと歴史的な意義から多くの観光客や歴史愛好家を魅了しています。
アクエダクト
アクエダクトは、古代ローマ時代において水道システムを構築するために使用された技術的な建造物です。
これは水を都市や町に供給するための重要なインフラとして機能していたものでもありました。
アクエダクトは、地形を越えた長距離で水を運ぶために設計されており、その多くは地下ではなく地上を通って建設されました。
古代ローマのアクエダクトは、水源地から都市まで水を導くために、石やコンクリートで作られた長大な水路でした。
これらの水路は、地形の起伏や障害物を乗り越えるために、橋やアーチを使用して建設されました。
アクエダクトの斜面を利用して、水が重力によって都市や町まで流れるように設計されています。
アクエダクトの建設には多くの技術的な知識と労力が必要でしたが、その成果は驚異的でした。
これによって、古代ローマの都市や町は清潔な水を供給し、公共の風呂や噴水、飲料水として使用することができました。
アクエダクトは古代ローマの都市計画や衛生状態の向上に重要な役割を果たし、その遺産は現代でも多くの場所で見ることができます。
まとめ
今回は、古代ローマ建築における建築やそれらの見どころについてご紹介をさせてもらいました!
今なお魅了する当時の建築群は、その当時のローマの繁栄を象徴するだけでなく、人々の暮らしぶりや娯楽などを知る事が出来るようになります。
個人的には歴史とセットでこれらの建造物について知る事で、興味が掻き立てられるだけでなく、理解を深める一助となってくると思っています。
それでは、今回はこの辺で失礼します!
ではでは。
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