こんにちは。小笠原です。
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ゴシック建築って個人的にかなり好きでカッコ良い建築様式だと思っています。
僕自身、過去にゴシック建築をモチーフとして空想の絵画を描いた事があるくらいなので、建築史を語る上で欠かせない様式の一つなんじゃないかと思っています。
コチラの作品は一点透視図法を使って描かれたもので、特にゴシック建築のような荘厳で洗練された建造物を描くのにも適している図法だと思います。
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とはいえ、
「ゴシック建築って聞いた事はあるけど、実際にどんな建築なのかは知らない」
という方も少なくないかもしれません。
テレビで流れる映像や書籍などでゴシック建築を見た事があるという方もいるかと思われますが、「ゴシック建築とは何か?」については、調べた事が無いという人にとっては答えづらい問いかもしれません。
そこで今回は、西洋建築史を語る上でも欠かすことのできない「ゴシック建築」について詳しく解説をしていきたいと思います。
目次
ゴシック建築とは?
ゴシック建築とは、12世紀半ばに登場し、14世紀までの期間中、主要な建築様式として北西ヨーロッパで建設が広まった建築様式です。
それまではロマネスク様式が主流となっていたのですが、宗教的な側面や人々の欲求によって、その新たな需要に応えるべく「ゴシック様式」が誕生しました。
その理由として、主に信仰生活と精神活動の中心として、街のシンボルとしていく為でもありました。
この時代においては、それぞれの都市がお互いの権威性を競い合うべく、高く、そして広さを競う形で発展していったのです。
当時は、当然ながらパソコンのような高性能な構造計算をする手段がありませんでした。
その為、当時の建築家や職人らの勘によって手探りながら建造していたにも関わらず、荘厳な姿に圧倒されますね。
ロマネスク建築とゴシック建築の違いとは?
ロマネスク建築に現れる特徴の中として、至る所に半円形のアーチを見る事が出来ます。
天井を支える上で、このような「半円形のアーチ」がある事で建物を支える事が出来るようになりました。
ただし、この構造だと天井を支えるために双方の壁を厚くしなければ支える事が出来なくなってしまう為、全体的に重々しい重厚感のある印象を受ける事となります。
ロマネスク建築の場合、かまぼこ型のアーチを交差させた形状の天井となっており、これを「交差ヴォールト」と言います。
一方で、このような特徴があるロマネスク建築とは異なり、ゴシック建築には「尖頭アーチ」が使われており、アーチの上部が尖った形状となっています。
これにより、上からの重さに強く、さらに間口を広げる事が出来るようになった事から、柱を細くして軽やかな作りに仕上げる事が出来るようになりました。
これらの特徴は、ロマネスク建築の場合、ヨーロッパ各地によってそれぞれ異なる特徴があって多様性に豊んでいますが、ゴシック建築の場合、統一された美しさが際立ちます。
まとめると
【ロマネスク建築】
- 半円アーチ型
- 交差ヴォールト
- 太い柱(ピア)
- 地域によって多様性に豊んでいる
【ゴシック建築】
- 尖頭アーチ
- リブヴォールト
- 線状の柱
- 統一感がある
といったものとなっています。
「ゴシック」の由来
「ゴシック」という言葉は、そもそも「ゴート人(ゲルマン人の一派)」という意味からきています。
元々は「野蛮」「未開」という意味のイタリア語に由来されている事から、やや荒々しい印象を受けますね。
「ゴシック」という言葉は、主に特定の建築様式に使われていましたが、その後、美術全般において広がっていきました。
今でもゴシック体で文章を作成したり、「ゴスロリ」といったサブカルチャー文化においても一般的にありふれた言葉でもあります。
それだけ後世にも影響を及ぼす語源でもありますね。
ゴシック建築が持つ特徴5つ
では、ゴシック建築が持つ特徴についてそれぞれ見ていきましょう。
尖頭アーチ
コチラの画像のように、ゴシック建築には天井を支えるアーチの上部が尖った形状をした特徴があります。
尖頭アーチは上からの重さに強くなるため、柱を細く削っても天井を支える事が出来るようになったのです。
その為、より間口を広げることも可能となり、開放感のあるスペースを生む事が出来るようになりました。
リブヴォールト
「リブ」という言葉は「肋骨」という意味を表しています。
リブヴォールトは天井を補強する弓形の形状が特徴となっており、日本では「穹窿(きゅうりゅう)」と呼ばれています。
これにより、天井を軽量化させる事が可能となりました。
天井が高い
広さ、そして高さを演出するために自ずと天井高が引き上げられるようになりました。
この時代は人々が少しでも天に近づくことを求めていた為、それに応じるべく各地で競い合いながら天井が高くする事となりました。
ですが、天井を高くする事で、構造的に不安定にならざるを得ないため、壁や柱以外にも補強する構造が必要となりました。
そこで、壁を支える支柱として次の「フライングバットレス」が使われるようになったのです。
フライングバットレス(控え壁)
ゴシック建築はロマネスク建築よりも上方向への高さが比較的に増したのですが、それにより上部からの重さが増大するという欠点もありました。
そのような課題を解消するために、建物の外部から補強材としてコチラの画像のようなものが造られたのです。
これを「フライングバットレス(控え壁)」と呼び、壁面を補強する素材を造る事で力を分散させる事ができるようになりました。
フライングバットレスは形状もスッキリしているので、見た目も軽やかで素敵なデザインですね。
柱が軽やか
フライングバットレスにより、構造的にも補強されるようになったため、その分柱の一本一本を細くする事ができるようになりました。
ロマネスク建築時代は全体的に重々しい構造である事に対し、技術の進歩もあってか、素材を限りなく削って全体的に軽やかな印象に仕上げる事が出来るようになったのですね。
また、壁に窓を開ける事で、ステンドグラスを取り入れて内部を煌びやかで派手にする事も出来るようになりました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は西洋建築史においても欠かせないゴシック建築についてまとめさせてもらいました。
建築技術の進歩により、その時代ごとの特徴が現れてくるものでもあります。
特に建築は視覚的にも大きな特徴として捉える事が出来ますし、何世代にもかけて受け継がれていくものでもあるので、その都市のシンボルとして象徴される事となります。
今までは見慣れた風景の一つだったとしても、前提知識があるのとそうで無いとのでは、建築の見方も変わってくる事でしょう。
今回紹介したゴシック建築は日本ではあまりお目にかかる機会は無いと思いますが、ヨーロッパを旅行する際にはこういった特徴や歴史等も踏まえて観てみると、より興味深く知る事ができる事だと思います。
僕もまだ観た事のない建築が沢山あるので、いずれ観に行けるようにしたいですね。
それでは、今回はこの辺で失礼します!
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