美大受験をする上で、
ラオコーン像を見た事がないという人は
まず居ないくらいに
有名な石膏像の一つとして挙げられます。
ラオコーン像は、
ただ有名な石膏像ではありません。
美大受験においては
「構造理解・動き・感情表現」
これらすべてが詰まった教材です。
特に
- 身体のねじれ
- 筋肉の連動
- 複雑なポーズのバランス
これらを一度に学べるため、
デッサン力を一段引き上げる
題材として扱われています。
あの苦悶に満ちた表情の表現は
言わずもがなではありますが、
筋肉質な体や各パーツのひねり具合や、
体に巻き付く蛇の表現など、
随所に見どころがありますよね。
鉛筆デッサンをする上で
描きごたえのある石膏像ではありますが、
普段見慣れている石膏像の
歴史を調べてみると、
西洋美術の知識を深めていく
事にも繋がります。
そこで今回は、
美大生にとって馴染みの深い
ラオコーン像についてまとめてみました。
本記事では、単なる知識だけではなく
なぜラオコーン像が
描く価値のあるモチーフなのか?
についても含めて解説します。
この違いを理解するだけでも、
デッサンの精度は大きく変わってきます。
目次
ラオコーン像とは?

ラオコーン像とは、
ギリシャ神話に登場する
ラオコーンの物語に基づいて
制作された彫刻で、
その美しさと情熱的な表現で
知られています。
ラオコーンはトロイの神官であり、
彼はトロイの木馬についての警告を
発したことで有名です。
彼が怒りをかっている神々によって、
彼と彼の息子たちは海蛇によって
絞め殺されるという運命にあった
とされています。
この像は、ラオコーンと
彼の息子たちが絞め殺される
瞬間を捉えており、
その苦しみと絶望が
見事に表現されています。
ラオコーン像は古代ギリシャの
芸術の傑作として高く評価されています。
ラオコーン像がデッサン課題として重要な理由
ラオコーン像が美大受験で頻出する理由は、
単に有名だからではありません。
最大の理由は、人体構造の理解を深める
要素が凝縮されている点にあります。
具体的には以下の3つです。
- 全身の強いねじれ(ツイスト構造)
- 複数人物による構図バランス
- 感情と筋肉の連動表現
特にラオコーンの胴体は、
胸・腹・骨盤がそれぞれ
異なる方向に動いており、
人体の立体構造を正しく
理解していないと破綻しやすい
構造になっています。
そのため、この像を描き切ることは
「見たものをそのまま写す力」
ではなく
「構造を理解して再構築する力」
を問われる課題でもあるのです。
例えば、ラオコーンの胴体を
そのまま見たまま描こうとすると、
腹部と胸部の向きが合わず、
不自然な形になりやすいです。
これは、表面の形だけを追ってしまい、
内部の骨格構造を
理解していない場合に起こります。
そのためラオコーン像は、
「形を写す力」ではなく
「構造を理解する力」が
試される題材でもあるのです。
この感覚を掴めるようになると、
他の石膏像や人物デッサンにも
応用が効くようになります。
ラオコーン像のテーマについて

ラオコーン像のテーマは、
「運命」
「神々の怒り」
「人間の無力さ」
です。
この彫刻は、
ラオコーンとその息子たちが
海蛇に襲われる瞬間を描いており、
彼らの絶望的な苦しみを強調しています。
神々の怒りによる避けられない運命と、
それに対する人間の無力さが
表現されているのですね。
このテーマは、
ギリシャ神話の多くの物語に
共通するものであり、
人間の運命がいかに神々の意志に
左右されるかを示しています。
ラオコーンの物語は、
忠告や知恵が神々の意志に
逆らうことの無力さを象徴し、
古代ギリシャ人の信仰や
価値観を反映しています。
ギリシャ神話におけるラオコーン
ラオコーンは、
ギリシャ神話のトロイア戦争に
関する物語に登場する人物です。
この物語はホメロスの
『イーリアス』などで語られています。
ギリシャの連合軍がトロイアを攻めた際、
攻めあぐねて和睦を申し入れ、
贈り物として木馬を城門の中に入れました。
これが「トロイの木馬」として
一般的にも知られています。
この時、トロイアのアテナイ神殿(
アポロン神殿とも呼ばれる)の
神官ラオコーンは木馬を疑い、
槍で木馬の胴体を突き刺しました。
中から武器の音がしましたが、
ラオコーンの警告は無視されました。
その後、ラオコーンが
ポセイドンに雄牛を
生け贄に捧げようとした際、
海から二匹の大蛇が現れ、
ラオコーンと彼の二人の息子を
絞め殺したのです。
そして大蛇たちはアテネ女神像の
足下の楯に隠れました。
トロイアの人々は、
ラオコーンが木馬を
槍で刺したことに対する
神々の怒りだと考えました。
しかし、ラオコーンが警告した通り、
木馬の中に隠れていたギリシャ兵が現れ、
トロイアは滅ぼされてしまいました。
ラオコーンと彼の息子たちの死は、
トロイアの滅亡の前兆だったのです。
ラオコーン像が作られた時代は?

ヘレニズム期の特徴として、
それまでの理想的で静的な表現から一転し、
動きと感情を強調した表現へと
変化しています。
ラオコーン像はその典型例であり、
極限状態の苦しみを身体全体で
表現している点が特徴です。
このような表現は後の
ルネサンス期に再評価され、
特にミケランジェロに大きな
影響を与えたとされています。
ラオコーン像が作られたとされる時代は、
紀元前2世紀から紀元前1世紀の
間とされています。
この彫刻は、ヘレニズム期の
作品として知られており、
その時代の特徴である
劇的で感情豊かな表現が見られます。
ヘレニズム美術の特徴については、
以下の記事でより詳しく解説しています。
ラオコーン像を作った作者は?

ラオコーン像の作者は、
古代ギリシャの芸術家である
- ハゲシアンドロス
- ポリュドーロス
- アテナゴラス
これら3人の彫刻家であるとされています。
これらの芸術家たちは、
ローマ帝国時代の彫刻家であり、
ロードス島出身とされています。
この像は、彼らが共同で
制作したものであり、
その技術と表現力は
非常に高く評価されています。
ラオコーン像は、
古代ギリシャの彫刻の中でも
特に重要な作品の一つとされ、
その影響はルネサンス期の
芸術家たちにも大きな影響を与えました。
ルネサンス時代については
以下の記事でまとめています。
ラオコーン像が後世に与えた影響については、
ルネサンス期の芸術とあわせて
理解するとより深まります。
ラオコーン像はどこで見る事が出来る?

ラオコーン像は、
1506年にローマで再発見され、
その後、バチカン美術館に
所蔵されました。
この美術館はバチカン市国に位置しており、
世界中から訪れる多くの観光客が
この彫刻を鑑賞しています。
ラオコーン像は、
バチカン美術館の彫刻コレクションの
一部として展示されています。
今後訪れる機会がありましたら、
是非とも足を運んでみてくださいね。
(僕もいずれ見にいきたいです)
ラオコーン像に関するよくある質問
Q1. ラオコーン像とは何ですか?
ラオコーン像とは、
ギリシャ神話に登場する
神官ラオコーンとその息子たちが、
海蛇に襲われる場面を表現した彫刻です。
ヘレニズム期を代表する
作品として知られています。
Q2. なぜラオコーン像は美大受験で重要なのですか?
ラオコーン像は、
人体のねじれ・筋肉の連動・
複雑な構図を同時に学べるため、
デッサン力を高める教材として
重要視されています。
Q3. ラオコーン像はどこで見ることができますか?
ラオコーン像は、
バチカン市国にある
バチカン美術館に所蔵されています。
Q4. ラオコーン像はいつ作られましたか?
紀元前2世紀から
紀元前1世紀頃に制作されたと
考えられています。
Q5. ラオコーン像の作者は誰ですか?
ハゲシアンドロス、ポリュドーロス、
アテナゴラスの3名による
共同制作とされています。
まとめ
ラオコーン像が評価され続けている理由は、
単なる美しさではなく
「学習価値の高さ」にあります。
ラオコーン像は、単なる石膏像ではなく
人体構造・動き・感情表現を
同時に学べる重要なモチーフです。
特にデッサンにおいては
- ねじれの理解
- 筋肉の連動
- 構図の把握
これらを総合的に鍛えることが出来ます。
美術史的にもヘレニズム期を
代表する作品であり、
後のルネサンス芸術にも
大きな影響を与えました。
もしデッサン力を
一段引き上げたいのであれば、
ラオコーン像は避けて通れない
題材と言えるでしょう。
個人的にも見応えがあって
1、2のトップを争うくらい
好きな彫刻でもあるので、
ラオコーンについて知る上で
興味深かったですね。
実際に描いてみることで、
文章だけでは理解できない
構造の難しさと奥深さを体感出来ます。
それでは、今回はこの辺で失礼します。































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